「お前……左之か?」
怒っているのではない。驚愕しているのだ。
「あんた、トシさんか? トシさんだろう?」
原田さんも驚いたような顔で、土方さんに尋ねた。
「ああ、そうだ。俺は土方歳三」
「すげえ! 嘘みたいだなあ!」
ふたりは引かれ合う磁石のように、自然に距離を詰めた。美形がふたり並んでいる。眩しすぎて目がくらみそう。
いや、それよりも。嘘みたいな本当の話。まさかの原田左之助さんまで現れちゃったよ。
「あのう、原田先生。あなたはもしや、転生した原田左之助さんですか?」
ふたりの間に割って入ると、原田先生は笑顔で頷いた。
「そうだよ。土方さんも転生してたんだな。まさか同じ時代で会えるとは思わなかった。うれしいなあ」
「いや、俺は……」
土方さんの肩を力強く抱く原田先生。土方さんは困ったような顔をした。
「原田先生、聞いてください。土方さんは、違うんです」
とんとんと腕を叩くと、原田先生は土方さんを解放した。
「違うって?」
私は手短に、土方さんは転生したのではなく、幕末からタイムスリップしてきてしまったことを説明した。
「ええっ。マジか」
原田先生は目を白黒させた。