「ええ、面白い新選組の漫画があって。一時期はまって一気読みしました」

 えへへ、と愛想笑いしてみる。

「そうなんだ。俺も好きだよ、新選組。今度一緒に京都に行こうか。ゆかりの地を訪ねる旅。きっと楽しいよ」

 眩しい笑顔を向けてくる原田先生。この笑顔にやられる女子は多そうだ。

 しかし、お世辞にも女子力満載とは言えない私にまでいきなりナンパのようなセリフを吐くとは……今まで相当モテてきたに違いない。最近、私の周りは女たらしが多いな。

「ゆかりの地と言えば、日野や函館もいいですよね。行ってみたいな~」

 あまり邪険にしても悪いし、真に受けてもいけない。さらっとかわそう。

 寮に着くと、寮長が出迎えに来た。原田先生も住み込みで働くとのことで、空き部屋を案内されていた。

 ずっとあの調子で話しかけられると、緊張しちゃうな。どうせなら、同年代女子の先生が来たら楽しかったかも。

 でも、かわいくて性格のいい女性教師が来たら、寮生たちがトラブルを起こしそう。やっぱりここは男の人がいいのか。

「美晴ちゃん」

 職員室で事務作業をしていたら、後ろから声をかけられた。