「わたくしたちも抗議いたしますわ! たとえ王族であっても、王国法は遵守していただかなくては」

「フレデリカ様とイース様、お二人をここで糾弾しようとするのは間違っています!」


 あまり話したことのないご令嬢たちもそうだそうだとうなずいてくれる。

 隣にいたロロナ様とベアトリーチェ様が「あなた勇敢なのね」とほほ笑んでくれた。

 勇敢……? いやなんかつい、コンビニで怒鳴られてる新人店員さん助けるくらいのつもりで飛び出してきちゃったけどよく考えたらこれ王家と公爵家の揉め事じゃんね?

 おもいっきり首突っ込んでしまったけど我が家は明日の朝日を拝めるかな……。

 少しばかり気が遠くなりかけたところでジーク様が「もういいだろう!」と声を張り上げる。

 つかつかと王太子のもとまで近づくと思いっきり拳を……え!? 殴った!? 王太子のこと殴った!?


「ジーク! どうして……」

「俺は陛下から家臣として、友として王太子を導いてくれと頼まれている。必要であれば手を出していいとも言われている。今がその時だ! 俺たちは何度もお前に忠告したな、だがお前は耳を貸さなかったではないか!」


 周囲にいた令息たちもふーーーと長めのため息をついて困ったような顔をした。

 あ、あれ? なんか、世にいう断罪ルート、的なことは起きないのかな?

 こういうのって全員で寄ってたかってフレデリカ様をなじって、最終的に国外追放だーとかってやるところなのでは……。

 一人が口を開く。彼はたしか、法務室室長のご令息だ。名前はわからないけど。