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「フレデリカ・リーファライン! 君との婚約破棄をここに宣言する」
ああー…………。
もしかしてやっぱり私がしらないだけでここって乙女ゲームの世界だったんじゃなかろうか。
ヒロインと思しき少女をかばうように立っている王太子殿下は今日もきらきらしい。
デビュタントでいわゆる主要人物は大体見かけてたんだなと周囲を見渡す。王太子(当時はまだ王子だった)に、フレデリカ様。
王子の周囲の高位貴族の令息たち。その中にはジーク様もいる。加えてフレデリカ様サイドにはその令息たちの婚約者のご令嬢。
スクールカースト上位っぽい子たちだったのでこれはだめだと思って私は距離をおいていたけどまさか本当にこんな対立構造が出来上がるとは思わなかった。
けど、殿下の後ろで守られているあの子は見たことがない。
なに、「リリン・レーベル」? 庶民の特待生? へー全然知らない。
たしかに顔は可愛いほうかもしれないけれど、あふれ出る気品みたいなものでフレデリカ様に勝てるとは到底思えない。
一見派手派手しいフレデリカ様だけど、次期王妃としての素養は確かなものだと思う。
成績は優秀だし、立ち居振る舞いも美しいし、私はあんまり関わらないけどフレデリカ様が声をかけてくださったことがあるからいつもご挨拶だけは絶対にしている。
そんなときだっていやな顔は絶対しない。「ごきげんよう、良い夜ね」と笑ってくださる。
……え? というかそんなフレデリカ様が婚約破棄?