「こんないい天気の日にわざわざすみません」
「何を言ってるんだ、いい天気のほうがいいだろう。君は庭の手入れも好きだし」
「はあ、ジーク様はこんな日は鍛錬や遠乗りのがいいんじゃないかと思って」
「そういうのも好きだが君との時間を作るのも俺の務めだ。まさか雨の日しか会わないわけにもいかないだろう」
そう、義務だ。
政略結婚につきもののこの「義務」は子供にやらせるのはどうなんだと社畜の私が言っている。
この世界の価値観を否定するわけじゃないけれど。私には違和感が強いのだ。
十五の男の子がこんないい天気の日に彼女とお茶会して楽しいわけがない。
私が中学生のとき、同級生の男の子たちに恋人なんているほうが稀だった。
大体が部活とトレーディングカードとジャンクフードとマンガで構成されていた。私も週刊少年誌は好きだったけど誰だってそんなものだった。
申し訳ない。
端的にそればかりだった。なんというか、転生ってもっとこう、派手な美人になったりするものだと思ってた。
そうじゃなくても磨けば光る美しさを持ってるとかなんかそういうのがあってもいいじゃんくらいには思うけれど貴族だっていうのになんかこう。
私の顔立ちは地味だ。地味だしぱっとしない。