と言っても中身は地球で事務職やってた成人女性だ。

 少々オタクっぽいことを除けばとくになんの変哲もないどこにでもいる感じの人間だったと思う。

 すれ違っても数秒後には顔を忘れるような、害のない平凡さを持つどこにでもいる社会人。

 そんな(イース)にも婚約者はいる。

 うちは小さい子爵家なので引く手あまたとはいかなかったけれど幸いなことにお隣(の領)のシュベルク伯爵家の長男が私と同い年ということで縁談が決まったのが十歳のときだった。

 お隣さんだし今後ともよしなにーって感じだったらしいとはメイド長の弁である。

 まあ緩いことはないけど厳しくないのが我が家とお隣さんゆえそんなもんなんだろう。

 今年の夏ごろの彼の誕生日付近で王都でデビュタントがある。

 それによっていろいろ不測の事態が起きそうな気がするので早めに手を打っておきたいなあなどと思っている。ここ一年くらい。