しかし、連打も虚しく画面には「予約がいっぱいになりました」の通知。
その下にはまたのご予約をお願いしますと言う文字と、先端にハートがついた矢と弓を持った小さな羽が生えた金髪の少年、いわゆる恋のキューピットがふわふわと浮いている。
「あぁ、またダメだった。もう人気ありすぎ」
「お前なぁ、ちょっと最近やりすぎじゃない? そろそろ高い壺とか買いそう」
「しょうがないじゃん。だってあの木原先輩だよ」
「あいつだからって、そんなの理由になってない」
「いやいや理由たり得るでしょ」
そう、木原寛也先輩。薫と同じ、一つ上の先輩で頭良し、顔良し、性格良し。おまけに高身長で好印象に孝行者。
顔を上げるとその完璧超人、木原先輩の親友ポジションになぜか位置する薫が私の目の前に立っている。なんかムカつくな。
「それに比べてなんだ広村」
「急になんだ」
怪訝な顔の薫を見て、私は笑う。
私は木原先輩のことが好きだ。
初めて人のことを好きになったから、この想いが世間一般的な好きと同じなのかはわからないけど、木原先輩のことを考えると夜はもどかしさで眠れなくて、朝になると木原先輩のことを考えて胸を踊らせる。そんな毎日を過ごしている。
「でもまどか、そろそろ本気でそういう、占いとか、スピリチュアルなことやめとけよ。キリないから」
「わかってるって」
「わかってないよ。そんなことする前に木原に告白すればいいじゃん」
「薫こそわかってない。できるならとっくにしてる」
そう。できれば今すぐに木原先輩の元へ走り出し、この想いを伝えたい。できれば、だけど。
「できないから困ってんじゃん」
告白はおろか、声をかけることすら難しい。一度だけ、薫の計らいで木原先輩と話せる機会があった。あったのに、木原先輩を前にした私は頭が真っ白になってしまい、その時の記憶がほとんどない。
「あいつのこと狙ってるやつがいるかも」
「ほんと?」
「かもしれないって話。そしたら先越されるぞ」
確かに薫の言う通りだ。あの木原先輩なら引く手数多だろうし、そもそも木原先輩が私のことを好きになってくれる要素が何もない。背も低く、頭も悪く、性格も……まぁ悪くはないけど良くもない。
私なんて。
その下にはまたのご予約をお願いしますと言う文字と、先端にハートがついた矢と弓を持った小さな羽が生えた金髪の少年、いわゆる恋のキューピットがふわふわと浮いている。
「あぁ、またダメだった。もう人気ありすぎ」
「お前なぁ、ちょっと最近やりすぎじゃない? そろそろ高い壺とか買いそう」
「しょうがないじゃん。だってあの木原先輩だよ」
「あいつだからって、そんなの理由になってない」
「いやいや理由たり得るでしょ」
そう、木原寛也先輩。薫と同じ、一つ上の先輩で頭良し、顔良し、性格良し。おまけに高身長で好印象に孝行者。
顔を上げるとその完璧超人、木原先輩の親友ポジションになぜか位置する薫が私の目の前に立っている。なんかムカつくな。
「それに比べてなんだ広村」
「急になんだ」
怪訝な顔の薫を見て、私は笑う。
私は木原先輩のことが好きだ。
初めて人のことを好きになったから、この想いが世間一般的な好きと同じなのかはわからないけど、木原先輩のことを考えると夜はもどかしさで眠れなくて、朝になると木原先輩のことを考えて胸を踊らせる。そんな毎日を過ごしている。
「でもまどか、そろそろ本気でそういう、占いとか、スピリチュアルなことやめとけよ。キリないから」
「わかってるって」
「わかってないよ。そんなことする前に木原に告白すればいいじゃん」
「薫こそわかってない。できるならとっくにしてる」
そう。できれば今すぐに木原先輩の元へ走り出し、この想いを伝えたい。できれば、だけど。
「できないから困ってんじゃん」
告白はおろか、声をかけることすら難しい。一度だけ、薫の計らいで木原先輩と話せる機会があった。あったのに、木原先輩を前にした私は頭が真っ白になってしまい、その時の記憶がほとんどない。
「あいつのこと狙ってるやつがいるかも」
「ほんと?」
「かもしれないって話。そしたら先越されるぞ」
確かに薫の言う通りだ。あの木原先輩なら引く手数多だろうし、そもそも木原先輩が私のことを好きになってくれる要素が何もない。背も低く、頭も悪く、性格も……まぁ悪くはないけど良くもない。
私なんて。