我慢の限界だった。植村さんのことは苦手だ。
 ただ、友達でもない、ほとんど会話したこともない人に首を突っ込まれること自体、私は大嫌いだ。

「植村さんには関係ないでしょ! ほっといて!」
「逃げるなら、俺たちも力ずくで捕まえるぞ」
「あんたたちも関係ないでしょ!」

 そう凄んでみたものの、ここは下駄箱が並んでいるだけの昇降口。逃げる場所はどこにもない。
 じりじりと後ずさる私。ゆっくりと取り囲む生徒会の人たち。
 牽制のために拳銃を撃つか。しかし貴重な弾をここで使っていいのか。でもそうしないと木原先輩にたどり着けない。
 思考がぐるぐると巡る。


「私を無視、するなよ」

 その声に誰も気がつかなかった。