話していたのは俊平くんとは別のグループのやつらだ。モモネというのは父親が地元でも幅を利かせている不動産会社の社長で、モモネは一人娘だ。つまり社長令嬢で、服は海外ブランド製で、ランドセルも白地にピンクのステッチという特注品だ。そういうと大和撫子みたいなおしとやかな日本人形を思い浮かべるけど、実際はズバズバものをいうはっきりした女の子だ。給食当番だった俊平が男子にはおかずを多めによそって、女子には少なめにしたとき、意見したのがモモネだった。同じ金額を払っているんだから同じ量にすべきだ、とたてついたくらいだ。俊平は、金持ちのくせにせこいこと言うな!、と応戦したけど、それは差別発言だから弁護士をつかって訴えると言い返して、俊平を黙らせた。ぼくにしたらどっちもだっちだった。おなじ学年と言っても体の大きさは全然違うし、食べられる子と小食の子との個体差はあったし、金持ちだと指摘されて弁護士を持ち出すのもルール違反だと思ったから。でも僕は黙っていた。うまく言い返す自信がなかったし、どうせ相手にされないと思ったから。
案の定、ロングホームルームは激高した。
「はなさかじいさんがいいです」と俊平。
「赤毛のアンがいい」とモモネ。
「どっちも古くせーよ」と中立の男子。
「文句いうならほかの案をだしなさいよ」とモモネ。
案の定、ロングホームルームは激高した。
「はなさかじいさんがいいです」と俊平。
「赤毛のアンがいい」とモモネ。
「どっちも古くせーよ」と中立の男子。
「文句いうならほかの案をだしなさいよ」とモモネ。