来月2月にはお楽しみ会といって、各学年ごとに出し物をやる。1、2年生は歌、3、5年生は合奏、4、6年生は劇、と演目は決まっている。そのイベントは地域の皆さんにも開放され、親やおじいちゃんおばあちゃんはもちろん、近所の人たちも招待される。小学校の小さな体育館は毎年あふれんばかりのひとで埋め尽くされ、昔は折り畳み椅子を学校で並べて地域の人を受け入れていたが、それでは数が間に合わず、椅子を廃止して座布団持ち込みになったくらいだ。
4年生のぼくたちは劇をやる。その劇で主人公をすればヒーローなのだが、そんなヒーローとはぼくは無縁だ。休み時間は劇の話題で持ちきりだ。ぼくは一番後ろの席で、消しゴムを転がしながらみんなのうわさ話に耳を傾けていた。
「主役は俊平くんかな」
「主人公が女の劇なら、俊平くんじゃないだろ」
「女ならモモネかな」
「えー、あんなうるせーやつ、主役になったらおれたちのこと見下すだろ。女子がつけあがるぜ」
「それチョーやだな。男が主人公の劇にしようよ」
4年生のぼくたちは劇をやる。その劇で主人公をすればヒーローなのだが、そんなヒーローとはぼくは無縁だ。休み時間は劇の話題で持ちきりだ。ぼくは一番後ろの席で、消しゴムを転がしながらみんなのうわさ話に耳を傾けていた。
「主役は俊平くんかな」
「主人公が女の劇なら、俊平くんじゃないだろ」
「女ならモモネかな」
「えー、あんなうるせーやつ、主役になったらおれたちのこと見下すだろ。女子がつけあがるぜ」
「それチョーやだな。男が主人公の劇にしようよ」