私の願いをいとも簡単に受け入れてしまう千里くんに胸が熱くなる。
このファンレターを読んでいたとき、まさか送り主に恋をしてしまうだなんて思ってもみなかった。
現実は本当に小説よりも奇妙で、そして過酷で、ハッピーエンドで終わらないことだってたくさんある。
けれどそんな辛い現実だって、千里くんとなら生きていきたい。
小さな幸せを一緒に見つけていきたい。

「好きだよ、聖ちゃん」

千里くんがいつものように愛を囁く。

「私も千里くんが大好き」

その言葉を堂々と受け取って、私も素直に自分の気持ちを言葉にした。

季節が巡って、彼と出会った春がまたやってくる。
けれど私の庭は一足早く、まるで春の盛りのように、満開の花で埋め尽くされていた。