ドクトル・ブラスバンドは己の勝利を疑っていなかった。
相手は、駆け出しの冒険者と剣聖。
フェイトの能力は驚くものがあるが、しかし、敵ではない。
むしろ、脅威は剣聖。
その力、その聖剣……一対一でやりあっていたら、もしかしたら条件次第では負けていたかもしれない。
それだけの力を持つ。
しかし、自分は魔剣を持つ。
聖剣と対なす存在。
特定の条件下において、聖剣以上の力を発揮する。
魔剣があれば、どのような相手でも負けることはない。
例え、剣聖を上回る存在……剣神であろうと。
そう思っていた。
そうでなければならないはずなのに……
「くっ……!?」
ソフィアが先行する形で、まずはドクトルと切り結ぶ。
何度も何度も斬撃を交わして……
時折、フェイトが援護の斬撃を放つ。
まるで、二人の意思が一つに統一されているかのような。
それほどまでに絶妙なタイミングだ。
念話を交わす魔道具でも所持しているのか?
ドクトルは、ついついそんなことを考えてしまうが、すぐに自分で否定した。
そのような貴重品を所持しているなんて情報、得ていない。
仮に所持していたとしても、このような激戦の中でいちいち念話を交わして、攻撃のタイミングを打ち合わせするなんてことは不可能だ。
そんなことをしても動きがうまく噛み合うことはないし、絶対にズレが生じる。
だとしたら……
二人は念話でやりとりすることなく。
事前に打ち合わせをすることもなく。
まったくのぶっつけ本番で、これだけの連携を見せているということになる。
フェイトとソフィアの絆の力と言うべきか。
予想外の力に、ドクトルは少しずつ少しずつ追いつめられていくが……
彼を本気で驚かせるのは、これからだった。
「はぁ!!!」
フェイトの斬撃を受け止めつつ、ドクトルは「なんだ?」と怪訝に思う。
フェイトの攻撃の回数が増えていた。
今までは、ソフィアが十回斬撃を繰り出す合間に、一度の攻撃だったのだけど……
それが二度、三度……と、時間が経つにつれて攻撃頻度が増している。
最初はソフィアがフェイトのために、攻撃の機会を譲っているのだと思っていた。
しかし、よくよく考えてみれば、そんなバカなことをするわけがない。
稽古ならいざしらず、今は真剣勝負。
殺し合いなのだ。
そんなことをする余裕があるとは思えないし、そこまでのバカでもないだろう。
ならば、なぜ?
ドクトルは二人と剣を交わしつつ、考えて……
そして、恐ろしい事実に思い至る。
(まさか……成長しているのか!?)
フェイトは戦いの中で成長している。
ただの成長ではない。
ソフィアやドクトルに迫るような勢いで、急速な勢いの成長。
(ばかなっ、ありえない!?)
戦いの中で成長するという話は聞いたことがある。
しかし、フェイトのそれは異常だ。
この短時間で、自分に迫るほどの力を身につけるなんて……
それを才能と評するのならば、とんでもないものになる。
数万人に一人の逸材。
いや。
数十、数百……
数千万人に一人の割合の逸材だろう。
世界で一人だけではないだろうか?
(くっ、私としたことが見誤るとは……!)
真に警戒するべきは、剣聖のソフィアではない。
驚くべき速度で成長するフェイトだったのだ。
そんなドクトルの考えを裏付けるかのように、フェイトは、ソフィアと同じ頻度で攻撃を繰り出していた。
最初は、合間を見て攻撃するしかなかったのに……
同じ頻度で攻撃するだけの力を身につけている。
先に殺すべきはフェイトだったのだ。
(まずいまずいまずいっ……!!!)
ドクトルは内心で焦る。
ソフィア一人なら、どうにかする自信があった。
そこに未熟なフェイトが加わったとしても、なんとかできる自信があった。
しかし、だ。
フェイトが急成長するという事態は、まるで想定していない。
完全な誤算だ。
二人の猛攻に耐えられなくなり、ドクトルは次第に押され始めた。
敵の剣撃が重い。
特に、フェイトの剣が重い。
一撃一撃を交わす度に手が軽く痺れてしまうほどだ。
(このようなガキ共に、この私が……そんなこと認めん、認められるかっ!!!)
ドクトルは心の中で吠えた。
そして、全力のさらに全力……
限界を超えた力を引き出して、二人を迎え撃つ。
……それが失敗だった。
フェイトは相手の力を吸収するかのように、強敵を相手にすればするほど成長する。
ならば、ドクトルが全力を超えた全力を出せばどうなるか?
もちろん、その分成長する。
そして……
相手は、駆け出しの冒険者と剣聖。
フェイトの能力は驚くものがあるが、しかし、敵ではない。
むしろ、脅威は剣聖。
その力、その聖剣……一対一でやりあっていたら、もしかしたら条件次第では負けていたかもしれない。
それだけの力を持つ。
しかし、自分は魔剣を持つ。
聖剣と対なす存在。
特定の条件下において、聖剣以上の力を発揮する。
魔剣があれば、どのような相手でも負けることはない。
例え、剣聖を上回る存在……剣神であろうと。
そう思っていた。
そうでなければならないはずなのに……
「くっ……!?」
ソフィアが先行する形で、まずはドクトルと切り結ぶ。
何度も何度も斬撃を交わして……
時折、フェイトが援護の斬撃を放つ。
まるで、二人の意思が一つに統一されているかのような。
それほどまでに絶妙なタイミングだ。
念話を交わす魔道具でも所持しているのか?
ドクトルは、ついついそんなことを考えてしまうが、すぐに自分で否定した。
そのような貴重品を所持しているなんて情報、得ていない。
仮に所持していたとしても、このような激戦の中でいちいち念話を交わして、攻撃のタイミングを打ち合わせするなんてことは不可能だ。
そんなことをしても動きがうまく噛み合うことはないし、絶対にズレが生じる。
だとしたら……
二人は念話でやりとりすることなく。
事前に打ち合わせをすることもなく。
まったくのぶっつけ本番で、これだけの連携を見せているということになる。
フェイトとソフィアの絆の力と言うべきか。
予想外の力に、ドクトルは少しずつ少しずつ追いつめられていくが……
彼を本気で驚かせるのは、これからだった。
「はぁ!!!」
フェイトの斬撃を受け止めつつ、ドクトルは「なんだ?」と怪訝に思う。
フェイトの攻撃の回数が増えていた。
今までは、ソフィアが十回斬撃を繰り出す合間に、一度の攻撃だったのだけど……
それが二度、三度……と、時間が経つにつれて攻撃頻度が増している。
最初はソフィアがフェイトのために、攻撃の機会を譲っているのだと思っていた。
しかし、よくよく考えてみれば、そんなバカなことをするわけがない。
稽古ならいざしらず、今は真剣勝負。
殺し合いなのだ。
そんなことをする余裕があるとは思えないし、そこまでのバカでもないだろう。
ならば、なぜ?
ドクトルは二人と剣を交わしつつ、考えて……
そして、恐ろしい事実に思い至る。
(まさか……成長しているのか!?)
フェイトは戦いの中で成長している。
ただの成長ではない。
ソフィアやドクトルに迫るような勢いで、急速な勢いの成長。
(ばかなっ、ありえない!?)
戦いの中で成長するという話は聞いたことがある。
しかし、フェイトのそれは異常だ。
この短時間で、自分に迫るほどの力を身につけるなんて……
それを才能と評するのならば、とんでもないものになる。
数万人に一人の逸材。
いや。
数十、数百……
数千万人に一人の割合の逸材だろう。
世界で一人だけではないだろうか?
(くっ、私としたことが見誤るとは……!)
真に警戒するべきは、剣聖のソフィアではない。
驚くべき速度で成長するフェイトだったのだ。
そんなドクトルの考えを裏付けるかのように、フェイトは、ソフィアと同じ頻度で攻撃を繰り出していた。
最初は、合間を見て攻撃するしかなかったのに……
同じ頻度で攻撃するだけの力を身につけている。
先に殺すべきはフェイトだったのだ。
(まずいまずいまずいっ……!!!)
ドクトルは内心で焦る。
ソフィア一人なら、どうにかする自信があった。
そこに未熟なフェイトが加わったとしても、なんとかできる自信があった。
しかし、だ。
フェイトが急成長するという事態は、まるで想定していない。
完全な誤算だ。
二人の猛攻に耐えられなくなり、ドクトルは次第に押され始めた。
敵の剣撃が重い。
特に、フェイトの剣が重い。
一撃一撃を交わす度に手が軽く痺れてしまうほどだ。
(このようなガキ共に、この私が……そんなこと認めん、認められるかっ!!!)
ドクトルは心の中で吠えた。
そして、全力のさらに全力……
限界を超えた力を引き出して、二人を迎え撃つ。
……それが失敗だった。
フェイトは相手の力を吸収するかのように、強敵を相手にすればするほど成長する。
ならば、ドクトルが全力を超えた全力を出せばどうなるか?
もちろん、その分成長する。
そして……