レナがパーティーに加わり。
 それからしばらくして、騎士団と冒険者ギルドから報酬を受け取り、エリンとクリフと改めて挨拶と少しの話をして。

 後始末は全て終えた。
 さあ、これからはなにをしよう?

 ……というところで問題が起きた。

「これから、なにをしようか?」

 宿の一室で今後についてを話し合う。

 ここしばらくの行動の目的は、黎明の同盟の野望を阻止するというところにあった。
 そのためにあちらこちらを旅して。
 黎明の同盟の手がかりを追い。
 そして、王都にまでやってきて、決着をつけた。

 でも、その目的は達成することができた。
 これ以上ない形で決着をつけることができた。

 それは喜ばしいことなんだけど……
 今後の目的が綺麗さっぱり消えてしまい、予定が白紙になってしまった。

「はいはーい!」
「なに?」
「美味しいもの食べ歩きツアーなんでどうかしら?」

 実にリコリスらしい案だった。

「でも……悪くないかもね」
「え。フェイト、本気ですか?」
「ずっと、っていうわけにはいかないけどね。でも、たまには、そんな気軽な目的で旅をしてもいいんじゃないかな? 冒険者らしくない?」
「そう言われると、そうかもしれませんね……」

 大義のために旅をして、目的を果たす。
 それは悪くないけど……

 でも、たまにはのんびりとした旅をしたい。
 笑顔でゆっくりと散歩をするような感じで、気楽に旅を楽しみたい。
 今までが今までだったから、尚更そう思う。

「おいしいもの……じゅるり」
「オフゥ」

 アイシャとスノウがよだれを垂らしていた。
 どうしよう。
 いつの間にか娘達が食いしん坊になっていた。

「んー……美味しいものっていえば、王都に色々あるよ」
「レナは詳しいの?」
「ボクはグルメだからねー。それに、黎明の同盟の本拠地は王都にあったから、ちょくちょく滞在していたんだ」

 なるほど。
 そんなレナなら王都の美味しい店に詳しいだろう。

 でも、王都なら旅をする必要がないか。

「旅にこだわらなくてもいいんじゃないですか? しばらくは王都の観光を楽しむ、という感じで」
「うんうん、ソフィアもたまには良いこと言うじゃん。王都の観光ならボクが案内できるよ」
「えっと……うん、それもいいかもしれないね」

 王都の観光をして。
 美味しいものを食べて。
 時々、冒険をする。

 しばらくはそんな感じで問題ないような気がしてきた。

 のんびり、ゆっくり。
 そして、楽しく過ごしていきたい。

 アイシャとスノウに……ソフィアに。
 それと、レナと一緒に良い思い出を作りたい。
 これから先を笑顔でいっぱいにしていきたい。

 みんなで笑って。
 楽しく過ごして。
 幸せを作り、そして……その優しい思い出をどこかで眠っているジャガーノートに届けたい。
 それが一番の供養になると思うから。

「じゃあ、しばらくは王都に滞在して、思い切り観光を楽しもうか」
「意義なーし!」
「なし!」
「オンッ!」

 リコリスが笑顔で言って、アイシャとスノウもそれに続いた。