「彼らを援護してください! 後のことなんて考えず、全力で攻撃を!」

 騎士団が一斉に動いた。
 矢と魔法を放つ。
 それらは雨のように降り注いで、ジャガーノートの動きを止める。

「邪魔をするナッ!!!」

 苛立った様子でジャガーノートがブレスを放つ。
 超光熱の炎が騎士団を飲み……こまない。

「さて、僕達の出番だ」

 クリフを始めとする冒険者達が前に出る。
 みんなで協力して、魔法で巨大な盾を作り上げた。
 それでブレスを受け止めて騎士団を守る。

「みんな、どうして……」
「もちろん、助けに来たのですよ」
「まあ、最初は僕達が助けられる側だったけどね。いやー、まいったまいった。本拠地に突入したら、いきなり崩落するんだもの。危うく生き埋めになるところだったよ」
「どうにかこうにか脱出できましたが、その時には、もうこの魔獣が……すみません。私の任務を果たせませんでした。ですが……」

 エリンが剣を構えた。
 騎士団も剣を構える。

「今この時、やらなければいけないことは、しっかりと果たしてみせましょう」
「そうだね」

 クリフも構えた。
 冒険者達も構える。

「スティアートくんには色々と助けられたからね。今度は、僕が助ける番だ」
「エリン……クリフ……」

 僕は一人じゃない。

 レナがいる、ゼノアスがいる。
 エリンがいる、クリフがいる。
 騎士団のみんながいる、冒険者のみんながいる。

 そして……

「フェイト、いきましょう」
「うん」

 ソフィアがいる。
 なら、もう……

「絶対に負けない」



――――――――――



「おおおおおぉっ!!!」

 最初にゼノアスが突撃した。
 巨大な剣を叩きつけるようにして、ジャガーノートに痛烈な一撃を放つ。

「ぐうううううッ……うっとうしイ!!!」

 ジャガーノートは巨大な尾で周囲を薙ぎ払う。
 いくらゼノアスでもタダでは済まないだろう。

 直撃したら、の話だけど。

「防御は任せてください!」

 エリン率いる騎士団が前に出た。

 身体能力を魔法で強化。
 さらにマジックアイテムを使い、即席の盾を展開。
 ゼノアスを飲み込もうとした尾を受け止めてみせる。

「次はボクだね♪」

 レナが前に出る。

 ゼノアスが『力』を体現する者だとしたら、レナは『速』だ。
 風よりも速く動いて、ジャガーノートの周囲を駆ける。

 ジャガーノートは苛立たしそうにしつつ前足で薙ぐけれど、レナを捉えることはできない。

「ダメダメ、いくら力があっても当たらないと意味がないよ。ってか、さっきも言ったよね? まったく、ちゃんと勉強してよ」
「黙レ、裏切り者メ!」
「裏切り者? 別にいいよ♪ ボクは、ボクの好きなように生きる。君の復讐につきあわされるのとか、正直、迷惑なんだよね」
「貴様ァアアアアア!!!」
「だーかーらー」

 レナはにっこりと笑う。
 でも、その笑みはとても冷たく、凄みのあるものだった。

「殺しちゃうよ♪」