ゴゴゴゴゴッ……!
突然地面が揺れた。
「うわっ」
「これは……」
地震にしては揺れ方がおかしい。
揺れ方が不規則で……
地面の下に巨人がいて大地を揺らしているみたいだ。
ほどなくして揺れが収まる。
代わりに嫌な気配が届いてきた。
絡みついてくるかのような強烈な殺意。
窒息するかのようなドロリとした悪意。
「なに、これ……? ひどい感覚だ」
「この気配……墓地の方からですね。レナ、ゼノアス。あなた達はなにか知りませんか?」
「いや、俺はなにも知らないな」
「ゼノアスは戦うことしか興味ないから……これ、ちょっと。ううん、かなりまずいかも」
「レナは心当たりが?」
「消去法だけどね」
黎明の同盟の幹部は無力化された。
リケンは倒れて、レナとゼノアスとは和解した。
残る驚異はトップだと思っていたけど、トップは大して強くないらしい。
外交能力に長けているものの、それだけ。
「なら、この気配は……誰?」
「もしかしたら、だけど……伝説にある魔獣かも」
「……魔獣……」
「ボクも見たことはないし、実在するなんて本当か知らないんだけど……他のメンバーは存在を信じていたからね。なんか、毎日祈りを捧げていたし」
「それだけ聞くと、まるで邪教ですね」
「まあ、似たようなものだよ。伝承通りなら、魔獣には復讐する権利はあると思うけど……とはいえ、色々とやりすぎているからね。そこはかばえないかな。って、話が逸れた」
レナは真面目な顔で言葉を続ける。
「こんな異質な気配、ボクも初めて感じたよ。もしかしたら、伝承の魔獣が目覚めたのかもしれない」
そんなレナの言葉を証明するかのように、
「ガァアアアアアアアァァァッ!!!」
王都全体を包み込むかのような獣の咆哮が響き渡る。
「あれは……」
「……うそ……」
果てに巨大な獣が姿を見せた。
100メートルを超えているであろう巨体。
その体は黒い毛に覆われていて、カラスの濡羽のように綺麗だ。
瞳は琥珀のよう。
三本の尾。
それと同じく、三つの頭。
ケルベロスという魔物を巨大化したら、あんな感じになるだろうか?
でも、その身にまとう殺気は別格だ。
その怨念だけで人を殺してしまうかのような、濃密な殺意。
事実、王都のあちらこちらでパニックが起きていた。
「これは……まずいね」
レナも軽口を叩くことができない。
たらりと汗を流していた。
「魔獣ジャガーノート……まさか、本当に実在したなんて」
「あれが魔獣……正真正銘の化け物じゃないか」
「あんなものが暴れたら王都は……!」
一日と保たないだろう。
「……レナ、ゼノアス。お願いがあるんだけど、いいかな?」
「え、なに?」
「リコリスとアイシャとスノウを守ってほしいんだ。できれば、三人を連れて逃げて欲しい」
「ちょっと、それ……」
「あんなヤツが相手だったら、家に隠れていても意味がないと思うから。逃げる方が安全だと思う」
「フェイトとソフィアはどうするの?」
「あいつと戦う」
とても恐ろしいことなのだけど、不思議と即答することができた。
「ならボクも……」
「レナは、けっこういっぱいいっぱいだよね? ゼノアスも」
「それは……」
「……俺達に任せていいのか? 敵だぞ」
「今もその認識が続いている?」
「……」
その沈黙が答えだ。
「お願いしてもいいかな?」
「……貸し一つだからね? 後でえっちなことしてくれないとダメ!」
「デートくらいなら」
「仕方ないな。それで我慢してあげる。ゼノアスは?」
「俺も構わない。敗者は勝者に従うのみ」
「ありがとう、二人共」
味方になってくれてよかった。
「ソフィアは……」
勝手に決めちゃったけど、よかったかな?
「もちろん、フェイトと一緒に戦いますよ」
「うん、ありがとう」
「お礼なんて言わないでください。私がそうしたいだけですから」
「なら……」
行こう!
突然地面が揺れた。
「うわっ」
「これは……」
地震にしては揺れ方がおかしい。
揺れ方が不規則で……
地面の下に巨人がいて大地を揺らしているみたいだ。
ほどなくして揺れが収まる。
代わりに嫌な気配が届いてきた。
絡みついてくるかのような強烈な殺意。
窒息するかのようなドロリとした悪意。
「なに、これ……? ひどい感覚だ」
「この気配……墓地の方からですね。レナ、ゼノアス。あなた達はなにか知りませんか?」
「いや、俺はなにも知らないな」
「ゼノアスは戦うことしか興味ないから……これ、ちょっと。ううん、かなりまずいかも」
「レナは心当たりが?」
「消去法だけどね」
黎明の同盟の幹部は無力化された。
リケンは倒れて、レナとゼノアスとは和解した。
残る驚異はトップだと思っていたけど、トップは大して強くないらしい。
外交能力に長けているものの、それだけ。
「なら、この気配は……誰?」
「もしかしたら、だけど……伝説にある魔獣かも」
「……魔獣……」
「ボクも見たことはないし、実在するなんて本当か知らないんだけど……他のメンバーは存在を信じていたからね。なんか、毎日祈りを捧げていたし」
「それだけ聞くと、まるで邪教ですね」
「まあ、似たようなものだよ。伝承通りなら、魔獣には復讐する権利はあると思うけど……とはいえ、色々とやりすぎているからね。そこはかばえないかな。って、話が逸れた」
レナは真面目な顔で言葉を続ける。
「こんな異質な気配、ボクも初めて感じたよ。もしかしたら、伝承の魔獣が目覚めたのかもしれない」
そんなレナの言葉を証明するかのように、
「ガァアアアアアアアァァァッ!!!」
王都全体を包み込むかのような獣の咆哮が響き渡る。
「あれは……」
「……うそ……」
果てに巨大な獣が姿を見せた。
100メートルを超えているであろう巨体。
その体は黒い毛に覆われていて、カラスの濡羽のように綺麗だ。
瞳は琥珀のよう。
三本の尾。
それと同じく、三つの頭。
ケルベロスという魔物を巨大化したら、あんな感じになるだろうか?
でも、その身にまとう殺気は別格だ。
その怨念だけで人を殺してしまうかのような、濃密な殺意。
事実、王都のあちらこちらでパニックが起きていた。
「これは……まずいね」
レナも軽口を叩くことができない。
たらりと汗を流していた。
「魔獣ジャガーノート……まさか、本当に実在したなんて」
「あれが魔獣……正真正銘の化け物じゃないか」
「あんなものが暴れたら王都は……!」
一日と保たないだろう。
「……レナ、ゼノアス。お願いがあるんだけど、いいかな?」
「え、なに?」
「リコリスとアイシャとスノウを守ってほしいんだ。できれば、三人を連れて逃げて欲しい」
「ちょっと、それ……」
「あんなヤツが相手だったら、家に隠れていても意味がないと思うから。逃げる方が安全だと思う」
「フェイトとソフィアはどうするの?」
「あいつと戦う」
とても恐ろしいことなのだけど、不思議と即答することができた。
「ならボクも……」
「レナは、けっこういっぱいいっぱいだよね? ゼノアスも」
「それは……」
「……俺達に任せていいのか? 敵だぞ」
「今もその認識が続いている?」
「……」
その沈黙が答えだ。
「お願いしてもいいかな?」
「……貸し一つだからね? 後でえっちなことしてくれないとダメ!」
「デートくらいなら」
「仕方ないな。それで我慢してあげる。ゼノアスは?」
「俺も構わない。敗者は勝者に従うのみ」
「ありがとう、二人共」
味方になってくれてよかった。
「ソフィアは……」
勝手に決めちゃったけど、よかったかな?
「もちろん、フェイトと一緒に戦いますよ」
「うん、ありがとう」
「お礼なんて言わないでください。私がそうしたいだけですから」
「なら……」
行こう!