「どうしたんだい?」
僕の迷いを察した様子で、クリフは不思議そうな顔をした。
追加で注文したドーナツをぱくぱくと食べている。
威厳なんてまったくない姿だけど……
でも、本当はとても有能ですごい人ということを知っている。
うん。
どうなるかわからないけど、話をしてみよう。
「大事な話があります」
「ふむ」
クリフは真面目な顔をして……
パクリと、追加のチョコドーナツを食べた。
「えっと……真面目な話があるんですけど」
「わかっているよ。ほら、そういう話をする時は頭を使うだろう? 頭を使うと、糖分が必要になるからね。だからこうして、ドーナツを食べているわけなのさ。はむっ」
もっともらしいことを言うけど、本当なのかな? と疑ってしまう。
「それで、話っていうのは?」
「あ、はい。少し長い話になりますけど、実は……」
黎明の同盟について、ある程度のことを話した。
遥か昔の神様の……という部分は省いた。
そこまで説明すると、かえってうさんくさくなってしまう気がしたからだ。
だから、魔剣という危険な武器を量産してて。
王都の転覆を企んでいるテロ組織がある、ということを説明した。
「……ふむ」
普段の飄々とした態度が嘘のように、クリフは真面目な顔に。
……そんな状態でも、ドーナツを食べる手は止まっていないけどね。
「まさか、スティアート君の口から黎明の同盟の話が出てくるなんて」
「えっ、もしかして知っていたんですか?」
「スティアート君ほど詳しくなかったけど、そこそこに……ね」
クリフ曰く……
ギルドマスターの地位をしっかりと固めたクリフは、その後、協会の改革に乗り出したらしい。
前任者のアイゼンのように焦ることなく、ゆっくりと、しかし確実に改革を推し進めていく。
その甲斐あって、ある程度、協会は自浄作用が働くようになった。
そして、その功績を評価されて、クリフは協会の幹部の会合に呼ばれるほどに出世した。
「出世なんてしたくないんだけどねー」
なんて、あははと笑いながら言う。
話が逸れた。
そうやっていくらかの会合に出席して情報を集めていると、黎明の同盟の影があることに気がついたらしい。
黎明の同盟は冒険者協会にまで入り込んでいて……
あちらこちらで暗躍しているという。
「協会のお偉いさんにも接触していたから、新しく湧いてきた危険な組織なのかな、って思っていたんだけど……そっか。かなり前から存在する、とても危険な組織だったんだねえ」
「なんか、適当な口調ですね」
「これでも十分驚いているよ。それに……魔剣の話は、僕のところにも流れてきているからね」
クリフは難しい表情を作る。
「協会の間でも、ちょくちょく話題に取り上げられるようになってきたんだ。ただ、誰かが裏で繋がっているから、本格的な調査はできなくてね」
「そんなことに……」
冒険者協会にまで入り込んでいるなんて……
ほんと、黎明の同盟のしたたかさはすごいと思う。
「それで……その話を僕にして、スティアート君はどうしたいのかな?」
「協力してほしいです」
「協力?」
「黎明の同盟の本拠地は、ここ、王都にあります」
「……それは本当かい?」
「はい」
ここで疑念を抱かれてはたまらないので、しっかりと頷いておいた。
「確かな情報です」
「なるほど……それで、黎明の同盟を叩くために、いや。まだ場所は突き止めていない。詳細な情報がない。そのために協力してほしい、というわけだね?」
「は、はい」
さすがというか、クリフは頭の回転が速い。
僕が言いたいこと、全て言われてしまった。
「このまま放っておいたら、どんなことになるか……そうなる前になんとかしたいです」
「つまり、黎明の同盟を叩くと?」
「はい、協力してくれませんか?」
「ごめん、無理」
あっさりと言われてしまうのだった。
僕の迷いを察した様子で、クリフは不思議そうな顔をした。
追加で注文したドーナツをぱくぱくと食べている。
威厳なんてまったくない姿だけど……
でも、本当はとても有能ですごい人ということを知っている。
うん。
どうなるかわからないけど、話をしてみよう。
「大事な話があります」
「ふむ」
クリフは真面目な顔をして……
パクリと、追加のチョコドーナツを食べた。
「えっと……真面目な話があるんですけど」
「わかっているよ。ほら、そういう話をする時は頭を使うだろう? 頭を使うと、糖分が必要になるからね。だからこうして、ドーナツを食べているわけなのさ。はむっ」
もっともらしいことを言うけど、本当なのかな? と疑ってしまう。
「それで、話っていうのは?」
「あ、はい。少し長い話になりますけど、実は……」
黎明の同盟について、ある程度のことを話した。
遥か昔の神様の……という部分は省いた。
そこまで説明すると、かえってうさんくさくなってしまう気がしたからだ。
だから、魔剣という危険な武器を量産してて。
王都の転覆を企んでいるテロ組織がある、ということを説明した。
「……ふむ」
普段の飄々とした態度が嘘のように、クリフは真面目な顔に。
……そんな状態でも、ドーナツを食べる手は止まっていないけどね。
「まさか、スティアート君の口から黎明の同盟の話が出てくるなんて」
「えっ、もしかして知っていたんですか?」
「スティアート君ほど詳しくなかったけど、そこそこに……ね」
クリフ曰く……
ギルドマスターの地位をしっかりと固めたクリフは、その後、協会の改革に乗り出したらしい。
前任者のアイゼンのように焦ることなく、ゆっくりと、しかし確実に改革を推し進めていく。
その甲斐あって、ある程度、協会は自浄作用が働くようになった。
そして、その功績を評価されて、クリフは協会の幹部の会合に呼ばれるほどに出世した。
「出世なんてしたくないんだけどねー」
なんて、あははと笑いながら言う。
話が逸れた。
そうやっていくらかの会合に出席して情報を集めていると、黎明の同盟の影があることに気がついたらしい。
黎明の同盟は冒険者協会にまで入り込んでいて……
あちらこちらで暗躍しているという。
「協会のお偉いさんにも接触していたから、新しく湧いてきた危険な組織なのかな、って思っていたんだけど……そっか。かなり前から存在する、とても危険な組織だったんだねえ」
「なんか、適当な口調ですね」
「これでも十分驚いているよ。それに……魔剣の話は、僕のところにも流れてきているからね」
クリフは難しい表情を作る。
「協会の間でも、ちょくちょく話題に取り上げられるようになってきたんだ。ただ、誰かが裏で繋がっているから、本格的な調査はできなくてね」
「そんなことに……」
冒険者協会にまで入り込んでいるなんて……
ほんと、黎明の同盟のしたたかさはすごいと思う。
「それで……その話を僕にして、スティアート君はどうしたいのかな?」
「協力してほしいです」
「協力?」
「黎明の同盟の本拠地は、ここ、王都にあります」
「……それは本当かい?」
「はい」
ここで疑念を抱かれてはたまらないので、しっかりと頷いておいた。
「確かな情報です」
「なるほど……それで、黎明の同盟を叩くために、いや。まだ場所は突き止めていない。詳細な情報がない。そのために協力してほしい、というわけだね?」
「は、はい」
さすがというか、クリフは頭の回転が速い。
僕が言いたいこと、全て言われてしまった。
「このまま放っておいたら、どんなことになるか……そうなる前になんとかしたいです」
「つまり、黎明の同盟を叩くと?」
「はい、協力してくれませんか?」
「ごめん、無理」
あっさりと言われてしまうのだった。