一番に考えないといけないのは、アイシャとスノウのこと。
そんな当たり前のことを忘れていて……
そして今、思い出すことができて……
なんていうか、雷に打たれたような衝撃を覚えた。
「フェイトもソフィアも、自分のことばかり考えないの。あの子の家族なんでしょう? ならしっかりしなさい!」
「……うん、そうだね」
まったく反論できない。
僕が全面的に悪い。
僕達がケンカをしている間、アイシャとスノウはすごく不安だっただろう。
今思い返してみれば、笑顔が消えていたような気がする。
そうさせてしまったのは僕のせい。
「うぅ……すごく情けないよ。僕、二人のためにがんばる、って決めていたのに……」
「ま、完璧にはいかないわよ」
リコリスの声音が少し柔らかくなった。
「無敵超妖精リコリスちゃんと違って、人間なんて間違いをするのが当たり前なんだから。今回みたいなことをしても、仕方ないんじゃない?」
「でも……」
「ほら、そこでうじうじしない。間違いっていうのを理解したなら、反省はほどほどでいいの。次を考えなさい、次を。そして、すぐ行動に移るの」
「……リコリス……」
「返事は?」
「うん!」
リコリスのおかげで完全に目が覚めた。
やるべきことを今すぐにやろう。
急いで部屋を出ようとして……
扉の前で立ち止まり、振り返る。
「ありがとう、リコリス」
「お礼なんて、超おいしいクッキーでいいわよ」
「あはは、了解。王都に行ったら探してみるよ」
「あと、はちみつもほしいわ。天然ものね」
「それは確約できないけど……うん、探してみるね。それと……」
「ん?」
「リコリスも大事な家族だから、なにかあったら絶対に力になるから」
「……」
「じゃあ、行ってくるね!」
――――――――――
「……なによ、ちょっとドキッとさせられたじゃない」
――――――――――
「ソフィア!」
「ひゃ!?」
勢いに任せてソフィアの部屋を訪ねた。
驚かせてしまったらしく、ソフィアはひっくり返ったような声をこぼす。
「な、なんですかいきなり……? というか、せめてノックくらい……」
「ごめん!!!」
僕は勢いよく頭を下げる。
「ソフィアとケンカをしたいわけじゃないんだ。仲直りしてくれないかな?」
「……それは、自分の考えが間違っていた、ということを認めるのですか?」
「ううん。僕は、僕の考えが正しいと思っているよ」
「はぁ?」
「でも、だからといってソフィアとケンカをしたいわけじゃないんだ。違う意見になったのなら、もっともっと話し合えばよかったんだ。それなのに意地になって、あんなことを言って……だから、ごめん!」
「……フェイト……」
ソフィアの表情から険が取れていく。
そっと立ち上がり、僕の前に。
そして……
「フェイト!」
「わぷっ」
ぎゅうっと抱きしめられてしまう。
「私も……私も、フェイトとケンカなんてしたくありません。意地になってしまい、すみませんでした」
「……ソフィア……」
「フェイトなら、なんでも私に賛成してくれると思っていたのかもしれません。そうやって、甘えていたのかもしれません。本当に申しわけありません……」
「ううん、気にしていないよ」
「それに……」
ソフィアが憂い顔で言う。
「今回のことで、アイシャちゃんとスノウに心配をかけてしまいました。二人にも謝らないと……」
「そっか……ソフィアは、誰に言われるまでもなく二人のことを気にかけていたんだね。はぁ……僕、ダメだなぁ」
「フェイト?」
「僕、リコリスに怒られるまで二人のことを忘れていて……ダメだね。本当に」
「仕方ありません。私も、少し前にアイシャちゃんとスノウのことを思い出して……同じくダメダメです」
「……」
「……」
少しの沈黙。
そして、
「あはは」
「ふふ」
どちらからともなく笑う。
「僕達、まだまだなのかもしれないね」
「そうですね。でも……」
「うん。二人一緒なら、なんでもできると思う。だから……」
「仲直り、ですね」
ソフィアが笑顔で手を差し出してきて……
僕もにっこりと笑い、その手を取るのだった。
そんな当たり前のことを忘れていて……
そして今、思い出すことができて……
なんていうか、雷に打たれたような衝撃を覚えた。
「フェイトもソフィアも、自分のことばかり考えないの。あの子の家族なんでしょう? ならしっかりしなさい!」
「……うん、そうだね」
まったく反論できない。
僕が全面的に悪い。
僕達がケンカをしている間、アイシャとスノウはすごく不安だっただろう。
今思い返してみれば、笑顔が消えていたような気がする。
そうさせてしまったのは僕のせい。
「うぅ……すごく情けないよ。僕、二人のためにがんばる、って決めていたのに……」
「ま、完璧にはいかないわよ」
リコリスの声音が少し柔らかくなった。
「無敵超妖精リコリスちゃんと違って、人間なんて間違いをするのが当たり前なんだから。今回みたいなことをしても、仕方ないんじゃない?」
「でも……」
「ほら、そこでうじうじしない。間違いっていうのを理解したなら、反省はほどほどでいいの。次を考えなさい、次を。そして、すぐ行動に移るの」
「……リコリス……」
「返事は?」
「うん!」
リコリスのおかげで完全に目が覚めた。
やるべきことを今すぐにやろう。
急いで部屋を出ようとして……
扉の前で立ち止まり、振り返る。
「ありがとう、リコリス」
「お礼なんて、超おいしいクッキーでいいわよ」
「あはは、了解。王都に行ったら探してみるよ」
「あと、はちみつもほしいわ。天然ものね」
「それは確約できないけど……うん、探してみるね。それと……」
「ん?」
「リコリスも大事な家族だから、なにかあったら絶対に力になるから」
「……」
「じゃあ、行ってくるね!」
――――――――――
「……なによ、ちょっとドキッとさせられたじゃない」
――――――――――
「ソフィア!」
「ひゃ!?」
勢いに任せてソフィアの部屋を訪ねた。
驚かせてしまったらしく、ソフィアはひっくり返ったような声をこぼす。
「な、なんですかいきなり……? というか、せめてノックくらい……」
「ごめん!!!」
僕は勢いよく頭を下げる。
「ソフィアとケンカをしたいわけじゃないんだ。仲直りしてくれないかな?」
「……それは、自分の考えが間違っていた、ということを認めるのですか?」
「ううん。僕は、僕の考えが正しいと思っているよ」
「はぁ?」
「でも、だからといってソフィアとケンカをしたいわけじゃないんだ。違う意見になったのなら、もっともっと話し合えばよかったんだ。それなのに意地になって、あんなことを言って……だから、ごめん!」
「……フェイト……」
ソフィアの表情から険が取れていく。
そっと立ち上がり、僕の前に。
そして……
「フェイト!」
「わぷっ」
ぎゅうっと抱きしめられてしまう。
「私も……私も、フェイトとケンカなんてしたくありません。意地になってしまい、すみませんでした」
「……ソフィア……」
「フェイトなら、なんでも私に賛成してくれると思っていたのかもしれません。そうやって、甘えていたのかもしれません。本当に申しわけありません……」
「ううん、気にしていないよ」
「それに……」
ソフィアが憂い顔で言う。
「今回のことで、アイシャちゃんとスノウに心配をかけてしまいました。二人にも謝らないと……」
「そっか……ソフィアは、誰に言われるまでもなく二人のことを気にかけていたんだね。はぁ……僕、ダメだなぁ」
「フェイト?」
「僕、リコリスに怒られるまで二人のことを忘れていて……ダメだね。本当に」
「仕方ありません。私も、少し前にアイシャちゃんとスノウのことを思い出して……同じくダメダメです」
「……」
「……」
少しの沈黙。
そして、
「あはは」
「ふふ」
どちらからともなく笑う。
「僕達、まだまだなのかもしれないね」
「そうですね。でも……」
「うん。二人一緒なら、なんでもできると思う。だから……」
「仲直り、ですね」
ソフィアが笑顔で手を差し出してきて……
僕もにっこりと笑い、その手を取るのだった。