黎明の同盟のアジトは王都に?
「え、それは本当に?」
「真偽はなんとも言えないのですが、少なくとも、あの男は嘘を吐いている様子はありませんでした」
「それは私も保証いたします。あれだけのことをされて黙っていられることは……いえ、なんでもありません」
なにをしたの……?
「黎明の同盟って、テロ組織のようなものだよね? 人間に対する復讐を謳っているし……そんな組織が王都に拠点を構えているなんて、ありえるのかな?」
「ない話ではありません。灯台下暗しと言いますし、あえて王都にアジトを置いている可能性も」
ありえない話じゃないか。
黎明の同盟は、今まで何度も大胆不敵な行動を繰り返してきた。
そのことを考えれば、ソフィアの説も肯定できる。
「もしかしたら、王都にアジトを構えることに意味があるのかもしれません」
「それは、どういう……?」
クローディアさんの言葉に首を傾げる。
「国の上層部と繋がりを持っている可能性があるのではないか、と」
「そんなことは……」
ない、とは言い切れなかった。
冒険者ギルドも貴族も。
腐敗している現状を見てきた。
だから、黎明の同盟と繋がっている者がいたとしても不思議じゃない。
他にも色々な可能性が考えられるんだけど……
「現状、情報が足りないかな?」
斥候から得た情報だけじゃ足りない。
かといって、これ以上の情報を求めるとなると難しいものがある。
「……王都に行くしかないのかな」
そして、黎明の同盟と決着をつける。
アイシャのため、スノウのため。
そして、自分自身のために。
――――――――――
王都に行くことが決定したけど、一つ問題があった。
アイシャとスノウだ。
二人を連れていくべきか、それとも、獣人の里で匿ってもらうか。
目を離すことは不安だけど……
でも、結界を構築した獣人の里なら安全だろう。
少なくとも、即日、どうこうなることはないと思う。
それに、王都に連れていけば否応なしに戦いに巻き込んでしまう。
それは避けたいところなのだけど……
「私は、里に置いていくのは反対です」
ソフィアは一緒に連れていくべきだ、と主張する。
「確かに結界は構築されましたが、必ずしも安全というわけではありません。もしかしたら結界をすり抜ける手段を持つ敵がいるかもしれません。結界をものともしない敵がいるかもしれません」
「そういう可能性を考えたら、一緒に連れていくことで二人が危険な目に遭う可能性が高いよ、っていう話になるんだけど……」
「ですが、二人は家族です。家族を置いていくなんて考えられません」
ソフィアの言いたいことはわかる。
僕も、アイシャとスノウと一時とはいえ離れ離れになんてなりたくない。
なりたくないけど……
二人の安全が脅かされるかもしれないと考えると、悩んでしまう。
「やっぱり、里で匿ってもらった方がいいんじゃないかな?」
「フェイトは、二人が寂しい思いをしてもいいと言うんですか?」
「そうは言わないよ。でも、王都に行くのは敵の本拠地に乗り込むことと同じだから、もっと安全に配慮しないと……」
「その言い方だと、私が二人の安全を無視しているように聞こえますが?」
「違うよ。でも、どっちが危険なのか考えると、やっぱり連れていく方が……」
「いいえ。目を離してしまう方が危険です。里に残して、その間になにかあった場合、私は悔やんでも悔みきれません」
「悪いことばかり考えたら、なにも行動できないよ」
「だからといって、楽観的になることはできません」
「僕は楽観的に考えているつもりはないよ」
「どうでしょうか?」
「むっ」
「むっ」
話し合いはいつしかヒートアップしてしまう。
僕とソフィアの言い争いになって……
間にいるクローディアさんと長は、困った顔をしてしまう。
本当なら言い争っている場合じゃない。
こういう時こそ、一致団結しないといけない。
そう思うんだけど、でも、感情はコントロールできなくて……
「里に匿ってもらうべきだよ!」
「いいえ、連れていくべきです!」
言い争いはどんどんエスカレートしてしまい、
「ソフィアのわからずや!」
「フェイトのわからずや!」
僕達はケンカをしてしまうのだった。
「え、それは本当に?」
「真偽はなんとも言えないのですが、少なくとも、あの男は嘘を吐いている様子はありませんでした」
「それは私も保証いたします。あれだけのことをされて黙っていられることは……いえ、なんでもありません」
なにをしたの……?
「黎明の同盟って、テロ組織のようなものだよね? 人間に対する復讐を謳っているし……そんな組織が王都に拠点を構えているなんて、ありえるのかな?」
「ない話ではありません。灯台下暗しと言いますし、あえて王都にアジトを置いている可能性も」
ありえない話じゃないか。
黎明の同盟は、今まで何度も大胆不敵な行動を繰り返してきた。
そのことを考えれば、ソフィアの説も肯定できる。
「もしかしたら、王都にアジトを構えることに意味があるのかもしれません」
「それは、どういう……?」
クローディアさんの言葉に首を傾げる。
「国の上層部と繋がりを持っている可能性があるのではないか、と」
「そんなことは……」
ない、とは言い切れなかった。
冒険者ギルドも貴族も。
腐敗している現状を見てきた。
だから、黎明の同盟と繋がっている者がいたとしても不思議じゃない。
他にも色々な可能性が考えられるんだけど……
「現状、情報が足りないかな?」
斥候から得た情報だけじゃ足りない。
かといって、これ以上の情報を求めるとなると難しいものがある。
「……王都に行くしかないのかな」
そして、黎明の同盟と決着をつける。
アイシャのため、スノウのため。
そして、自分自身のために。
――――――――――
王都に行くことが決定したけど、一つ問題があった。
アイシャとスノウだ。
二人を連れていくべきか、それとも、獣人の里で匿ってもらうか。
目を離すことは不安だけど……
でも、結界を構築した獣人の里なら安全だろう。
少なくとも、即日、どうこうなることはないと思う。
それに、王都に連れていけば否応なしに戦いに巻き込んでしまう。
それは避けたいところなのだけど……
「私は、里に置いていくのは反対です」
ソフィアは一緒に連れていくべきだ、と主張する。
「確かに結界は構築されましたが、必ずしも安全というわけではありません。もしかしたら結界をすり抜ける手段を持つ敵がいるかもしれません。結界をものともしない敵がいるかもしれません」
「そういう可能性を考えたら、一緒に連れていくことで二人が危険な目に遭う可能性が高いよ、っていう話になるんだけど……」
「ですが、二人は家族です。家族を置いていくなんて考えられません」
ソフィアの言いたいことはわかる。
僕も、アイシャとスノウと一時とはいえ離れ離れになんてなりたくない。
なりたくないけど……
二人の安全が脅かされるかもしれないと考えると、悩んでしまう。
「やっぱり、里で匿ってもらった方がいいんじゃないかな?」
「フェイトは、二人が寂しい思いをしてもいいと言うんですか?」
「そうは言わないよ。でも、王都に行くのは敵の本拠地に乗り込むことと同じだから、もっと安全に配慮しないと……」
「その言い方だと、私が二人の安全を無視しているように聞こえますが?」
「違うよ。でも、どっちが危険なのか考えると、やっぱり連れていく方が……」
「いいえ。目を離してしまう方が危険です。里に残して、その間になにかあった場合、私は悔やんでも悔みきれません」
「悪いことばかり考えたら、なにも行動できないよ」
「だからといって、楽観的になることはできません」
「僕は楽観的に考えているつもりはないよ」
「どうでしょうか?」
「むっ」
「むっ」
話し合いはいつしかヒートアップしてしまう。
僕とソフィアの言い争いになって……
間にいるクローディアさんと長は、困った顔をしてしまう。
本当なら言い争っている場合じゃない。
こういう時こそ、一致団結しないといけない。
そう思うんだけど、でも、感情はコントロールできなくて……
「里に匿ってもらうべきだよ!」
「いいえ、連れていくべきです!」
言い争いはどんどんエスカレートしてしまい、
「ソフィアのわからずや!」
「フェイトのわからずや!」
僕達はケンカをしてしまうのだった。