「そっか。フェイトは、ボク達、黎明の同盟の目的が知りたいんだ」
「うん。そこを知ることができれば、色々な疑問が解決されるからね」
魔剣を作る理由。
ブルーアイランドで事件を引き起こした理由。
アイシャやスノウを狙う理由。
黎明の同盟の目的を知ることができれば、それらの疑問が一気に解決されると思う。
全て、レナ達が起点になっているのだから。
「んー」
レナが渋い顔に。
「教えてくれないの?」
「ううん、大丈夫。約束したから教えるよ? 目的を教えたらダメ、とは言われてないからね。ただ、どこから話したものかなー、って。ホント、長い話になるから」
「ゆっくりでいいよ。今は時間があるから」
「そっか。なら……」
レナは、近くにある倒木に腰掛けた。
そして、隣をぽんぽんと叩く。
「ここに座って、ゆっくり話をしよ?」
「えっと……お邪魔します」
断るのも失礼かと思い、レナの隣に座る。
「えへへー」
「ちょ」
いきなりレナが肩に寄りかかってきた。
「な、なにをしているの!?」
「これくらい、いいじゃん」
「だ、ダメだから! ダメダメ!」
「ちぇ、ケチだなー。ま、いいや。そのうち、フェイトの方からしてして、って言うくらい魅了してあげるから」
にっこりと笑いつつ、レナがそう言う。
正直、その笑顔はとても魅力的で……
ソフィアと出会っていなければ、一瞬で魅了されていただろう。
それくらい魅力的な女の子なのに……
レナは、どうして黎明の同盟なんてものに所属しているんだろう?
その理由も、できるのなら聞きたかった。
「ちょっとした昔話から始まるんだけど……フェイトは、女神様は知ってるよね?」
「うん。僕達、人間の産みの親。全ての母」
でも……
今はちょっと人間と距離ができている、らしい。
「そうそう、基本はそんな認識になるよねー。でも、ちょっと違うんだ」
「違う?」
「全ての母、ってわけじゃないの。獣人は別」
「え?」
「獣人を生み出した神様は別にいるんだ」
別の神様がいる?
それは、とても衝撃的な話だ。
もしも学会なんかで発表をしたら、大騒ぎに……
……ならないか。
それよりも前に、そんなバカな、と一蹴されるのがオチだろう。
「にわかには信じられないんだけど……それ、本当のことなの?」
「マジのガチ」
「うーん」
「あ、疑っているなー?」
「だって、突然すぎるし……」
「ま、わかるけどねー。ホントなら証拠でも示したらいいんだけど、そういうの、あいにくないんだよねー。だから、ここからは私の話が正しい、っていう前提で聞いてね? 疑問とかあったとしても、ひとまず飲み込んで、最後まで聞いて」
「うん、了解」
話を聞きたいと言ったのは僕だ。
どんな話だとしても、ひとまず、最後まで聞かないと。
「今言ったけど、もう一人、別の神様がいるんだ。それが……神獣」
「……」
思い切り咳き込んでしまいそうになった。
神獣、って……
スノウのこと?
「獣の神様だから、神獣。わかりやすいでしょ?」
「そう、だね」
「神獣は、女神と協力して自分達の子供を作ったの。人間と獣の要素を持つ、新しい生命……それが獣人だよん」
「なるほど」
納得できる話だった。
二人の神様が協力したからこそ、それぞれの特徴を受け継いだ、新しい種族が生まれたんだろう。
「ずっと昔……女神と神獣は仲良く暮らしていた。人間と獣人も、仲良く暮らしていた。互いに足りないところを補い、支え合い、穏やかな生活を送っていた」
レナは、どこか遠い目をして語る。
その横顔は寂しそうでもあり……
迷子になった子供のようでもあった。
「人間は知恵に優れている。獣人は身体能力に優れている。だから、支え合うことで、より良い方向に発展することができたんだ」
「理想的な関係だね」
「うん、そう。ただ、やっぱり人間の方が弱くて……狩りなんかに行くと、人間の方に被害が出ることが多かった。獣人も守ったりしてたけど、限界があるからね」
「どうしようもないことだね……」
「でも、獣人はそれをなんとかしようとしたんだ。自分達が持つ力を使い、人間達に新しい力を与える……その研究を続けて、そして、完成したのが聖剣」
「えっ」
思わぬところで思わぬ単語が出てきた。
「聖剣は、獣人によって作られたものなんだよ」
「うん。そこを知ることができれば、色々な疑問が解決されるからね」
魔剣を作る理由。
ブルーアイランドで事件を引き起こした理由。
アイシャやスノウを狙う理由。
黎明の同盟の目的を知ることができれば、それらの疑問が一気に解決されると思う。
全て、レナ達が起点になっているのだから。
「んー」
レナが渋い顔に。
「教えてくれないの?」
「ううん、大丈夫。約束したから教えるよ? 目的を教えたらダメ、とは言われてないからね。ただ、どこから話したものかなー、って。ホント、長い話になるから」
「ゆっくりでいいよ。今は時間があるから」
「そっか。なら……」
レナは、近くにある倒木に腰掛けた。
そして、隣をぽんぽんと叩く。
「ここに座って、ゆっくり話をしよ?」
「えっと……お邪魔します」
断るのも失礼かと思い、レナの隣に座る。
「えへへー」
「ちょ」
いきなりレナが肩に寄りかかってきた。
「な、なにをしているの!?」
「これくらい、いいじゃん」
「だ、ダメだから! ダメダメ!」
「ちぇ、ケチだなー。ま、いいや。そのうち、フェイトの方からしてして、って言うくらい魅了してあげるから」
にっこりと笑いつつ、レナがそう言う。
正直、その笑顔はとても魅力的で……
ソフィアと出会っていなければ、一瞬で魅了されていただろう。
それくらい魅力的な女の子なのに……
レナは、どうして黎明の同盟なんてものに所属しているんだろう?
その理由も、できるのなら聞きたかった。
「ちょっとした昔話から始まるんだけど……フェイトは、女神様は知ってるよね?」
「うん。僕達、人間の産みの親。全ての母」
でも……
今はちょっと人間と距離ができている、らしい。
「そうそう、基本はそんな認識になるよねー。でも、ちょっと違うんだ」
「違う?」
「全ての母、ってわけじゃないの。獣人は別」
「え?」
「獣人を生み出した神様は別にいるんだ」
別の神様がいる?
それは、とても衝撃的な話だ。
もしも学会なんかで発表をしたら、大騒ぎに……
……ならないか。
それよりも前に、そんなバカな、と一蹴されるのがオチだろう。
「にわかには信じられないんだけど……それ、本当のことなの?」
「マジのガチ」
「うーん」
「あ、疑っているなー?」
「だって、突然すぎるし……」
「ま、わかるけどねー。ホントなら証拠でも示したらいいんだけど、そういうの、あいにくないんだよねー。だから、ここからは私の話が正しい、っていう前提で聞いてね? 疑問とかあったとしても、ひとまず飲み込んで、最後まで聞いて」
「うん、了解」
話を聞きたいと言ったのは僕だ。
どんな話だとしても、ひとまず、最後まで聞かないと。
「今言ったけど、もう一人、別の神様がいるんだ。それが……神獣」
「……」
思い切り咳き込んでしまいそうになった。
神獣、って……
スノウのこと?
「獣の神様だから、神獣。わかりやすいでしょ?」
「そう、だね」
「神獣は、女神と協力して自分達の子供を作ったの。人間と獣の要素を持つ、新しい生命……それが獣人だよん」
「なるほど」
納得できる話だった。
二人の神様が協力したからこそ、それぞれの特徴を受け継いだ、新しい種族が生まれたんだろう。
「ずっと昔……女神と神獣は仲良く暮らしていた。人間と獣人も、仲良く暮らしていた。互いに足りないところを補い、支え合い、穏やかな生活を送っていた」
レナは、どこか遠い目をして語る。
その横顔は寂しそうでもあり……
迷子になった子供のようでもあった。
「人間は知恵に優れている。獣人は身体能力に優れている。だから、支え合うことで、より良い方向に発展することができたんだ」
「理想的な関係だね」
「うん、そう。ただ、やっぱり人間の方が弱くて……狩りなんかに行くと、人間の方に被害が出ることが多かった。獣人も守ったりしてたけど、限界があるからね」
「どうしようもないことだね……」
「でも、獣人はそれをなんとかしようとしたんだ。自分達が持つ力を使い、人間達に新しい力を与える……その研究を続けて、そして、完成したのが聖剣」
「えっ」
思わぬところで思わぬ単語が出てきた。
「聖剣は、獣人によって作られたものなんだよ」