刃が半ばから折れて、くるくると宙を舞う。
その光景を、僕は呆然と眺めていた。
「あっ……!?」
すぐ我に返るものの、一瞬、遅れてしまう。
ここぞとばかりに煉獄竜が体を回転させて、尻尾を叩きつけてきた。
ギリギリのところで回避するものの、かすり、血が流れる。
煉獄竜の巨体から繰り出される攻撃は非常に強力だ。
かすっただけでも、運が悪いと致命傷になる。
幸い、致命傷は避けられたものの、大量に出血してしまう。
「このっ……!」
ポーションを飲みつつ、追撃を回避。
なんとか危機を乗り越えることができた。
相手は弱っている。
できればこのまま畳み掛けたいのだけど……
ちらりと後ろを見ると、ソフィアの回復は間に合っていない。
もう少しっていう感じだけど、間に合うかどうか。
そして僕は、肝心の武器がない。
これじゃあ、なにも……
「ふっふーん、またせたわね!」
ふと、戦場に似合わない声が飛んできた。
反射的に振り返ると、リコリスの姿が。
「リコリス!? どうしてここに……」
「コレを届けに来たのよ。ほら、受け取りなさい!」
「わっ」
魔法を使ったのだろう。
リコリスがなにかを投げてきた。
って、大暴投!?
慌てて追いかけて……
ジャンプをして、それをキャッチする。
「これは……雪水晶の剣?」
水晶のような輝きを放つ。
そして、雪のように白い刀身。
僕が知っているものと、いくらか形状が違うのだけど……
でも、それは間違いなく雪水晶の剣だった。
「修理が終わったから持ってきてあげたわ。ふっふーん、絶妙なタイミングだったでしょ? 実は、こっそりタイミングをうかがっていたの」
最後の情報はいらない。
「でも、まだ時間がかかるはずじゃあ? それに、この変化は……」
「細かいことは後! 今は……」
「……うん、そうだね」
やるべきことをやろう。
僕は雪水晶の剣を抜いて、構えた。
以前と変わらなくて、軽すぎず重すぎず。
手にしっくりと馴染んで、体の一部になるような感覚。
「……おかえり」
相棒の帰還を喜ぶ。
「さっそくで悪いけど、いくよ!」
今ならなんでもできる。
そう思えるくらいの力と勇気が湧いてきた。
「ガァアアアッ!!!」
まっすぐに突撃する僕を叩き潰そうと、煉獄竜が吠えた。
巨大な前足を叩きつけてくるのだけど……遅い!
ワンステップ、横に跳ぶ。
それから、体を半身にしてギリギリのところで攻撃を回避。
失敗したら致命傷になっていたかもしれないけど、でも、失敗していないから問題ない。
僕は、そのまま煉獄竜の懐に潜り込み、
「神王竜剣術、壱乃太刀……破山っ!!!」
ありったけの力でありったけの攻撃を繰り出した。
さっき使っていた剣は、煉獄竜の鱗を一度も突破することができなかった。
でも、今回は違う。
雪水晶の剣は、簡単に鱗を切り裂いてしまう。
煉獄竜が悲鳴をあげて、身をよじり、暴れる。
僕に傷つけられるわけがないと油断していたのか、相当な驚きっぷりだ。
うん。
大きなダメージは与えていないものの、とても良い攻撃になった。
これなら……
「ほれ、さらに追加じゃ!」
ホルンさんは、さらに二本の爆弾付きの剣を投擲した。
二つとも今までの戦闘でできた傷に突き刺さり、爆弾が爆発。
至近距離で炎と熱波と衝撃を浴びることになり、煉獄竜が悶える。
でも、これもまた本命の攻撃じゃない。
「はぁあああああっ!!!」
ダメージから回復したソフィアが、煙に隠れて突撃。
聖剣エクスカリバーを構えて、加速、加速、加速。
「蓮華っ!!!」
超高速の抜剣術。
宙を駆ける斬撃が煉獄竜の片翼を斬り飛ばした。
その光景を、僕は呆然と眺めていた。
「あっ……!?」
すぐ我に返るものの、一瞬、遅れてしまう。
ここぞとばかりに煉獄竜が体を回転させて、尻尾を叩きつけてきた。
ギリギリのところで回避するものの、かすり、血が流れる。
煉獄竜の巨体から繰り出される攻撃は非常に強力だ。
かすっただけでも、運が悪いと致命傷になる。
幸い、致命傷は避けられたものの、大量に出血してしまう。
「このっ……!」
ポーションを飲みつつ、追撃を回避。
なんとか危機を乗り越えることができた。
相手は弱っている。
できればこのまま畳み掛けたいのだけど……
ちらりと後ろを見ると、ソフィアの回復は間に合っていない。
もう少しっていう感じだけど、間に合うかどうか。
そして僕は、肝心の武器がない。
これじゃあ、なにも……
「ふっふーん、またせたわね!」
ふと、戦場に似合わない声が飛んできた。
反射的に振り返ると、リコリスの姿が。
「リコリス!? どうしてここに……」
「コレを届けに来たのよ。ほら、受け取りなさい!」
「わっ」
魔法を使ったのだろう。
リコリスがなにかを投げてきた。
って、大暴投!?
慌てて追いかけて……
ジャンプをして、それをキャッチする。
「これは……雪水晶の剣?」
水晶のような輝きを放つ。
そして、雪のように白い刀身。
僕が知っているものと、いくらか形状が違うのだけど……
でも、それは間違いなく雪水晶の剣だった。
「修理が終わったから持ってきてあげたわ。ふっふーん、絶妙なタイミングだったでしょ? 実は、こっそりタイミングをうかがっていたの」
最後の情報はいらない。
「でも、まだ時間がかかるはずじゃあ? それに、この変化は……」
「細かいことは後! 今は……」
「……うん、そうだね」
やるべきことをやろう。
僕は雪水晶の剣を抜いて、構えた。
以前と変わらなくて、軽すぎず重すぎず。
手にしっくりと馴染んで、体の一部になるような感覚。
「……おかえり」
相棒の帰還を喜ぶ。
「さっそくで悪いけど、いくよ!」
今ならなんでもできる。
そう思えるくらいの力と勇気が湧いてきた。
「ガァアアアッ!!!」
まっすぐに突撃する僕を叩き潰そうと、煉獄竜が吠えた。
巨大な前足を叩きつけてくるのだけど……遅い!
ワンステップ、横に跳ぶ。
それから、体を半身にしてギリギリのところで攻撃を回避。
失敗したら致命傷になっていたかもしれないけど、でも、失敗していないから問題ない。
僕は、そのまま煉獄竜の懐に潜り込み、
「神王竜剣術、壱乃太刀……破山っ!!!」
ありったけの力でありったけの攻撃を繰り出した。
さっき使っていた剣は、煉獄竜の鱗を一度も突破することができなかった。
でも、今回は違う。
雪水晶の剣は、簡単に鱗を切り裂いてしまう。
煉獄竜が悲鳴をあげて、身をよじり、暴れる。
僕に傷つけられるわけがないと油断していたのか、相当な驚きっぷりだ。
うん。
大きなダメージは与えていないものの、とても良い攻撃になった。
これなら……
「ほれ、さらに追加じゃ!」
ホルンさんは、さらに二本の爆弾付きの剣を投擲した。
二つとも今までの戦闘でできた傷に突き刺さり、爆弾が爆発。
至近距離で炎と熱波と衝撃を浴びることになり、煉獄竜が悶える。
でも、これもまた本命の攻撃じゃない。
「はぁあああああっ!!!」
ダメージから回復したソフィアが、煙に隠れて突撃。
聖剣エクスカリバーを構えて、加速、加速、加速。
「蓮華っ!!!」
超高速の抜剣術。
宙を駆ける斬撃が煉獄竜の片翼を斬り飛ばした。