「その後、儂はノノカ嬢と一緒に世界を旅したのじゃが……」
さらに話が続こうとした時、魔物の雄叫びが聞こえてきた。
慌てて振り返ると、複数の魔物の姿が。
「この階の魔物は掃討したと思っていたのですが」
「それなりに時間が経っているから、新しく湧いてきたのかもしれないね」
「じいちゃんの昔話はめっちゃ気になるんだけど、まずは、あっちの対処ね。さあ、フェイト、ソフィア、いきなさい!」
「どうしてリコリスが命令をしているんですか?」
「あいだだだだだ!!!?」
ソフィアに頭をギシギシと押さえられて、リコリスが悲鳴をあげた。
二人共、余裕があるなあ。
「ふむ、全部で八体か。儂が三体、引き受けよう。二人には残りを頼んでもいいかのう?」
「はい、大丈夫です」
「うむ、頼もしい返事じゃ」
それぞれ抜剣。
そして、突撃。
魔物に先制攻撃のチャンスは与えない。
むしろ、こちらから攻撃することで、タイミングを乱してやる。
「はぁ!」
さすがというか、ソフィアはもう一匹を斬り捨てていた。
相手は金属でできた棒を武器にしていたが、その棒ごと叩き切ってしまう。
「せいっ!」
ホルンさんもすごい。
老齢とは思えない機敏な動きで魔物を惑わして、死角からの攻撃を叩き込んでいく。
ソフィアのような一撃必殺の威力はない。
ただ、堅実で確実な戦い方だ。
結果、ホルンさんは魔物の攻撃を一撃も食らうことなく、倒すことができた。
なるほど。
ああいう戦い方もあるんだ。
すごく参考になる。
「フェイト、来たわよ!」
「うん!」
僕も負けていられない。
木の棍棒を武器に、殴りかかってくるオークと対峙した。
――――――――――
戦闘は五分ほどで終了した。
僕達の圧勝だ。
というけど……
ソフィアがいるし、ホルンさんもすごい。
二人のおかげだよね。
「フェイト、怪我はありませんか?」
剣を鞘に収めつつ、ソフィアがそう尋ねてきた。
僕も剣を収めて、頷いてみせる。
「うん、大丈夫だよ。ソフィアは?」
「私も問題ありません。ホルンさんも問題ないようですし……」
「ふぉっふぉっふぉ、まだまだ若い者には負けんぞ」
「なにも問題ありませんね」
「ちょっとちょっと。なんで、リコリスちゃんにはなにも聞かないわけ?」
「リコリスは天井の辺りを飛んでいたから、なにも問題はありませんよね?」
「そんなことないわよ! 蜘蛛の巣に引っかかって、めっちゃピンチだったわよ!」
蜘蛛に食べられそうになる妖精って、いったい……
「ふむ。ひとまず魔物は掃討したが……この様子では、また現れるかもしれぬな」
「落ち着いて話を、というわけにはいきませんね」
僕達もホルンさんも、まだまだ色々なことを話したい。
しかし、状況がそれを許してくれない。
まあ、ダンジョンの中で落ち着いて話をする、っていうのが、そもそも無理な話なんだけど。
休むために結界などを展開しても、それでも見張りは必須だ。
なにがあるかわからない。
絶対に安全といえないのがダンジョンなのだから。
「提案なのじゃが……協力してダンジョンを攻略せぬか? その後、街へ戻り落ち着いて話をしようではないか」
「そうですね。ソフィアも、それでいいよね?」
「はい、問題ありませんよ。ホルンさんのような方が一緒だと、とても心強いです」
「ふぉっふぉっふぉ、老人をおだてるのがうまいのう」
「いえいえ、本心ですよ」
「……」
ホルンさんはとても頼りになる。
強いだけじゃなくて、たぶん、知識も豊富だと思う。
でも、ソフィアがそんな風に褒めるところを見ていると……
「ふふ……どうしたのですか、フェイト?」
「えっ」
気がつけば、ソフィアの顔がすぐ近くにあった。
少し頬を染めて、ニヤニヤと笑みを浮かべている。
「なにやら、あまりおもしろくなさそうな顔をしていましたが?」
「そ、それは別に……なんでもないよ」
「そうですか? 私は、嫉妬しているように見えたのですが」
「っ……!? そ、そそそ、そんなことは……」
「ふふ、フェイトはかわいいですね」
「むぎゅ!?」
思い切り抱きしめられてしまう。
そんなことをしたら、柔らかくて温かい二つの膨らみが……!?
「ふふ、フェイト♪」
「むぐぐー!?」
僕は慌てて、
「「やれやれ」」
リコリスとホルンさんが、生暖かい目をしてため息をこぼすのが見えた。
さらに話が続こうとした時、魔物の雄叫びが聞こえてきた。
慌てて振り返ると、複数の魔物の姿が。
「この階の魔物は掃討したと思っていたのですが」
「それなりに時間が経っているから、新しく湧いてきたのかもしれないね」
「じいちゃんの昔話はめっちゃ気になるんだけど、まずは、あっちの対処ね。さあ、フェイト、ソフィア、いきなさい!」
「どうしてリコリスが命令をしているんですか?」
「あいだだだだだ!!!?」
ソフィアに頭をギシギシと押さえられて、リコリスが悲鳴をあげた。
二人共、余裕があるなあ。
「ふむ、全部で八体か。儂が三体、引き受けよう。二人には残りを頼んでもいいかのう?」
「はい、大丈夫です」
「うむ、頼もしい返事じゃ」
それぞれ抜剣。
そして、突撃。
魔物に先制攻撃のチャンスは与えない。
むしろ、こちらから攻撃することで、タイミングを乱してやる。
「はぁ!」
さすがというか、ソフィアはもう一匹を斬り捨てていた。
相手は金属でできた棒を武器にしていたが、その棒ごと叩き切ってしまう。
「せいっ!」
ホルンさんもすごい。
老齢とは思えない機敏な動きで魔物を惑わして、死角からの攻撃を叩き込んでいく。
ソフィアのような一撃必殺の威力はない。
ただ、堅実で確実な戦い方だ。
結果、ホルンさんは魔物の攻撃を一撃も食らうことなく、倒すことができた。
なるほど。
ああいう戦い方もあるんだ。
すごく参考になる。
「フェイト、来たわよ!」
「うん!」
僕も負けていられない。
木の棍棒を武器に、殴りかかってくるオークと対峙した。
――――――――――
戦闘は五分ほどで終了した。
僕達の圧勝だ。
というけど……
ソフィアがいるし、ホルンさんもすごい。
二人のおかげだよね。
「フェイト、怪我はありませんか?」
剣を鞘に収めつつ、ソフィアがそう尋ねてきた。
僕も剣を収めて、頷いてみせる。
「うん、大丈夫だよ。ソフィアは?」
「私も問題ありません。ホルンさんも問題ないようですし……」
「ふぉっふぉっふぉ、まだまだ若い者には負けんぞ」
「なにも問題ありませんね」
「ちょっとちょっと。なんで、リコリスちゃんにはなにも聞かないわけ?」
「リコリスは天井の辺りを飛んでいたから、なにも問題はありませんよね?」
「そんなことないわよ! 蜘蛛の巣に引っかかって、めっちゃピンチだったわよ!」
蜘蛛に食べられそうになる妖精って、いったい……
「ふむ。ひとまず魔物は掃討したが……この様子では、また現れるかもしれぬな」
「落ち着いて話を、というわけにはいきませんね」
僕達もホルンさんも、まだまだ色々なことを話したい。
しかし、状況がそれを許してくれない。
まあ、ダンジョンの中で落ち着いて話をする、っていうのが、そもそも無理な話なんだけど。
休むために結界などを展開しても、それでも見張りは必須だ。
なにがあるかわからない。
絶対に安全といえないのがダンジョンなのだから。
「提案なのじゃが……協力してダンジョンを攻略せぬか? その後、街へ戻り落ち着いて話をしようではないか」
「そうですね。ソフィアも、それでいいよね?」
「はい、問題ありませんよ。ホルンさんのような方が一緒だと、とても心強いです」
「ふぉっふぉっふぉ、老人をおだてるのがうまいのう」
「いえいえ、本心ですよ」
「……」
ホルンさんはとても頼りになる。
強いだけじゃなくて、たぶん、知識も豊富だと思う。
でも、ソフィアがそんな風に褒めるところを見ていると……
「ふふ……どうしたのですか、フェイト?」
「えっ」
気がつけば、ソフィアの顔がすぐ近くにあった。
少し頬を染めて、ニヤニヤと笑みを浮かべている。
「なにやら、あまりおもしろくなさそうな顔をしていましたが?」
「そ、それは別に……なんでもないよ」
「そうですか? 私は、嫉妬しているように見えたのですが」
「っ……!? そ、そそそ、そんなことは……」
「ふふ、フェイトはかわいいですね」
「むぎゅ!?」
思い切り抱きしめられてしまう。
そんなことをしたら、柔らかくて温かい二つの膨らみが……!?
「ふふ、フェイト♪」
「むぐぐー!?」
僕は慌てて、
「「やれやれ」」
リコリスとホルンさんが、生暖かい目をしてため息をこぼすのが見えた。