「おや?」
ある程度、探索をしたところで初老の男性と遭遇した。
歳は……たぶん、六十以上。
髪は全部白髪になっているところを見ると、もっと上かもしれない。
ただ、そんな見た目とは正反対に、とても鋭いプレッシャーを放っていた。
体は木の枝のように細い。
軽鎧を身に着けているが、サイズが合っていない。
それでも、こうして相対していると冷や汗が流れてしまいそうだ。
この人はとてつもなく強い。
多分、ソフィアに匹敵するか……
下手したらソフィア以上だ。
「こんにちは」
ソフィアは臆することなく、にっこりと挨拶をしてみせた。
こういうところ、本当にすごいと思う。
僕も慌てて挨拶をする。
「こ、こんにちは」
「やっほー」
「うむ、こんにちは」
こちらが挨拶をすると、老人から放たれていた圧が消えた。
僕達のことを盗賊かなにかと警戒していたのかもしれない。
「お嬢ちゃん達は冒険者かね?」
「はい。私は、ソフィア・アスカルトといいます」
「フェイト・スティアートです」
「ふふん、美少女妖精リコリスちゃんよ」
「ほう……お嬢ちゃんが、あの剣聖なのかね」
ソフィアのことを知っているらしく、老人は驚いたように目を大きくした。
その反応に、こちらも驚いてしまう。
「ソフィアのこと、知っているんですか?」
「ふぉっふぉっふぉ、冒険者で嬢ちゃんのことを知らぬ者はおらんよ。史上最年少で剣聖の称号を授かり、聖剣エクスカリバーを手に入れた。儂ら冒険者の憧れじゃな」
「そんな、憧れだなんて……」
ソフィアが顔を赤くして照れていた。
こんなに年上の人に憧れなんて言われたら、さすがに恥ずかしいのだろう。
「おっと、名乗り遅れたのう。儂は、ホルン・エイズフランという。同じく冒険者じゃ」
「ん?」
老人の名前を聞いて、リコリスが眉をたわめるのが見えた。
なにか気になることがあるんだろうか?
「ホルンさんは、こんなところでなにを?」
「冒険者がすることは一つ。お宝探しじゃよ」
「なるほど」
当たり前のことを聞いてしまい、ちょっと恥ずかしかった。
「お主らは?」
「僕達は、この塔にあるって言われているミスリルを探しに来たんです」
「ほう、ミスリルか。それはまた、珍しいものを探しておるのう」
「どうしても必要なので……見たことないですか?」
「うーむ。力になりたいが、まだ見ていないのう」
「そうですか……」
「ただ、儂も塔の探索を始めて間もないからのう。上層は調べておらん。もしかしたら、上層にはあるかもしれんぞ」
「ありがとうございます」
貴重な情報を得ることができた。
感謝だ。
「ところで……」
ホルンさんの視線がリコリスに向けられる。
「その子は妖精なのか?」
「当たり前でしょ。こんなにもかわいくてキュートで可憐でビューティフルでわんだほーな女の子、妖精以外にいるわけないじゃない」
「ふぉっふぉっふぉ、それもそうじゃな、すまんすまん」
「まったくよ」
なんとなく息の合いそうな二人だった。
「いや、すまぬな。妖精を見かけるのは本当に久しぶりじゃから、つい」
「ということは、以前にも妖精を?」
「うむ。妖精は滅多に人前に姿を見せることはないが……若い頃、運良く出会うことができてのう。いやはや、あれは良い思い出になった」
リコリス以外の妖精か……
どんな子だったんだろう?
気になる。
「よかったら、その妖精について話を聞かせてもらえませんか?」
「うむ、構わないぞ」
長い話になるのだろう。
ホルンさんは手近な場所に腰をおろした。
「あれは、儂がまだ若い頃の話じゃ……ちょっとした縁から、ノノカという妖精と出会ったのじゃよ」
「ノノカですって!?」
飛びつくような反応を見せたのはリコリスだ。
いつものふざけた雰囲気はどこへやら、とても真面目な顔をしている。
ヒュンとホルンさんの目の前に飛んで、ぐいっと詰め寄る。
「ちょっと、おっさん! あんた、ノノカの知り合いなわけ!?」
「うむ、そうなるが……妖精の嬢ちゃんもそうなのかい?」
「当たり前よ! ノノカは、あたしの友達なんだから!」
もしかして……
「リコリス。そのノノカっていう子は、雪水晶の剣を作ったっていう……?」
「そうよ。ノノカが雪水晶の剣を作ったのよ」
「雪水晶の剣じゃと!?」
予想外の展開にこちらが驚いていると、今度はホルンさんが話に食いついてきた。
「ど、どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたも、雪水晶の剣は、以前、儂が使っていたものじゃ!」
「えっ!?」
なんかもう……
衝撃的な事実が次々と判明して、頭が追いついていかなかった。
ある程度、探索をしたところで初老の男性と遭遇した。
歳は……たぶん、六十以上。
髪は全部白髪になっているところを見ると、もっと上かもしれない。
ただ、そんな見た目とは正反対に、とても鋭いプレッシャーを放っていた。
体は木の枝のように細い。
軽鎧を身に着けているが、サイズが合っていない。
それでも、こうして相対していると冷や汗が流れてしまいそうだ。
この人はとてつもなく強い。
多分、ソフィアに匹敵するか……
下手したらソフィア以上だ。
「こんにちは」
ソフィアは臆することなく、にっこりと挨拶をしてみせた。
こういうところ、本当にすごいと思う。
僕も慌てて挨拶をする。
「こ、こんにちは」
「やっほー」
「うむ、こんにちは」
こちらが挨拶をすると、老人から放たれていた圧が消えた。
僕達のことを盗賊かなにかと警戒していたのかもしれない。
「お嬢ちゃん達は冒険者かね?」
「はい。私は、ソフィア・アスカルトといいます」
「フェイト・スティアートです」
「ふふん、美少女妖精リコリスちゃんよ」
「ほう……お嬢ちゃんが、あの剣聖なのかね」
ソフィアのことを知っているらしく、老人は驚いたように目を大きくした。
その反応に、こちらも驚いてしまう。
「ソフィアのこと、知っているんですか?」
「ふぉっふぉっふぉ、冒険者で嬢ちゃんのことを知らぬ者はおらんよ。史上最年少で剣聖の称号を授かり、聖剣エクスカリバーを手に入れた。儂ら冒険者の憧れじゃな」
「そんな、憧れだなんて……」
ソフィアが顔を赤くして照れていた。
こんなに年上の人に憧れなんて言われたら、さすがに恥ずかしいのだろう。
「おっと、名乗り遅れたのう。儂は、ホルン・エイズフランという。同じく冒険者じゃ」
「ん?」
老人の名前を聞いて、リコリスが眉をたわめるのが見えた。
なにか気になることがあるんだろうか?
「ホルンさんは、こんなところでなにを?」
「冒険者がすることは一つ。お宝探しじゃよ」
「なるほど」
当たり前のことを聞いてしまい、ちょっと恥ずかしかった。
「お主らは?」
「僕達は、この塔にあるって言われているミスリルを探しに来たんです」
「ほう、ミスリルか。それはまた、珍しいものを探しておるのう」
「どうしても必要なので……見たことないですか?」
「うーむ。力になりたいが、まだ見ていないのう」
「そうですか……」
「ただ、儂も塔の探索を始めて間もないからのう。上層は調べておらん。もしかしたら、上層にはあるかもしれんぞ」
「ありがとうございます」
貴重な情報を得ることができた。
感謝だ。
「ところで……」
ホルンさんの視線がリコリスに向けられる。
「その子は妖精なのか?」
「当たり前でしょ。こんなにもかわいくてキュートで可憐でビューティフルでわんだほーな女の子、妖精以外にいるわけないじゃない」
「ふぉっふぉっふぉ、それもそうじゃな、すまんすまん」
「まったくよ」
なんとなく息の合いそうな二人だった。
「いや、すまぬな。妖精を見かけるのは本当に久しぶりじゃから、つい」
「ということは、以前にも妖精を?」
「うむ。妖精は滅多に人前に姿を見せることはないが……若い頃、運良く出会うことができてのう。いやはや、あれは良い思い出になった」
リコリス以外の妖精か……
どんな子だったんだろう?
気になる。
「よかったら、その妖精について話を聞かせてもらえませんか?」
「うむ、構わないぞ」
長い話になるのだろう。
ホルンさんは手近な場所に腰をおろした。
「あれは、儂がまだ若い頃の話じゃ……ちょっとした縁から、ノノカという妖精と出会ったのじゃよ」
「ノノカですって!?」
飛びつくような反応を見せたのはリコリスだ。
いつものふざけた雰囲気はどこへやら、とても真面目な顔をしている。
ヒュンとホルンさんの目の前に飛んで、ぐいっと詰め寄る。
「ちょっと、おっさん! あんた、ノノカの知り合いなわけ!?」
「うむ、そうなるが……妖精の嬢ちゃんもそうなのかい?」
「当たり前よ! ノノカは、あたしの友達なんだから!」
もしかして……
「リコリス。そのノノカっていう子は、雪水晶の剣を作ったっていう……?」
「そうよ。ノノカが雪水晶の剣を作ったのよ」
「雪水晶の剣じゃと!?」
予想外の展開にこちらが驚いていると、今度はホルンさんが話に食いついてきた。
「ど、どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたも、雪水晶の剣は、以前、儂が使っていたものじゃ!」
「えっ!?」
なんかもう……
衝撃的な事実が次々と判明して、頭が追いついていかなかった。