怖い。
反射的にそんなことを思ってしまう。
ソフィアは笑顔なのだけど、でも、ぜんぜん目が笑っていない。
ゴゴゴゴゴ、という音がするような感じで、妙な迫力がある。
「わぁ、綺麗な人」
ソフィアの様子に気づいているのかいないのか、ミントは呑気な声をこぼす。
花が咲いたように、にっこりと笑う。
そして、ソフィアに手を差し出した。
「こんにちは。私、ミントっていいます。あなたは?」
「……ソフィア・アスカルトです」
ミントの無邪気な笑顔に毒気を抜かれた様子で、ソフィアは素直に答えた。
そんな彼女の台詞を聞いて、ミントは目を丸くして……
「わぁ!」
再び笑顔の花を咲かせた。
「あなたがソフィアさんなんですね! あ、名前で呼んでもいいですか?」
「え? あ、はい。いいですけど……」
「ありがとうございますー、よろしくですー」
「えっと……」
ミントの明るい笑顔に困惑した様子で、ソフィアがこちらを見た。
どうすればいいの?
そう言いたいみたいだけど……
でも、僕に振られても困る。
ミントはふわふわとした性格で、なにを考えているのかよくわからないところがある。
昔も色々と振り回されたものだ。
「ふぅ」
僕から事情を聞くのを諦めた様子で、ソフィアはミントに視線を戻す。
「えっと……どうして私のことを知っているのですか?」
「フェイトの大事な人なんですよね?」
「え?」
「何度も何度もお話を聞いていましたよ。とても綺麗な子がいるんだー。一番大事なんだー。いつか結婚するって約束したんだー、って」
「ふぁ!?」
妙な声を発して、ソフィアは顔を真っ赤にした。
そして、たぶん、僕も顔を赤くしていて……
「ふぇ、フェイトがそんなことを言っていたのですか……?」
「うんうん。毎日のように、楽しそうに、幸せそうに言っていましたよー」
「はぅ」
照れていた。
ものすごく照れていた。
そんなソフィアに、ミントは、僕が昔どうこうしていたことをさらに語る。
何度もソフィアのことを口にしていたことを語り……
「ご、ごめんなさい!!!」
ついに耐えられなくなり、ソフィアはどこかへ逃げ出してしまった。
「あれ? どうしたんだろう?」
「ミント……今の褒め殺しというか、照れ殺し? わざとなの?」
「え? なんのこと?」
うん。
やっぱり、今も昔も、ミントは天然だった。
でも、それが懐かしくて……
ついつい笑みがこぼれてしまうのだった。
――――――――――
買い物を終えた後、家で合流した。
ミントも一緒で、久しぶりの再会を楽しむことに。
「お邪魔します」
「おう、ミントちゃんか。久しぶりだな」
「はい、久しぶりですー」
父さんとミントが笑顔で話をしていた。
聞けば、僕がいないと接点がなかったらしく、あまり話をしていないとか。
もうちょっと近所交流しようよ。
「しかし、フェイトもやるな」
「え、なにが?」
「ミントちゃんにソフィアの嬢ちゃん。二人も上玉を捕まえるなんてな」
「え? え?」
「で、どっちが本命なんだ?」
「「っ!?」」
父さんがそんなバカな発言をした瞬間、ソフィアとミントが、一瞬、目を光らせたような気がした。
「そ、それは……」
「それは?」
「……そ、そんなことよりも! 僕達はダンジョンの攻略をしないといけないから!」
「逃げましたね」
「逃げたねー」
「ヘタれね」
女性陣からの容赦のない口撃。
状況がよくわからないアイシャは、キョトンとしてて。
同じく、スノウは呑気にあくびをこぼしていた。
「ま、ダンジョンの攻略は明日にしとけ」
「まさか、父さんもそういう話をしたいの?」
「違う違う。ちと天気が悪いだろ? 今から出たら、たぶん、雨に降られるぞ。そうなるよりは、晴れの日に出た方がいいだろ」
「それは、まあ」
「それに、母さんももうすぐ帰ってくるからな。急ぎでないなら、まずは母さんに顔を見せてやれ」
「……うん」
確かに、父さんの言う通り母さんに顔を見せることは大事だ。
ずっと心配をかけていただろうし……
安心させてあげないと。
「で……本命はどっちなんだ?」
「父さん……その野次馬根性、どうにかしてよ」
困った父さんだった。
反射的にそんなことを思ってしまう。
ソフィアは笑顔なのだけど、でも、ぜんぜん目が笑っていない。
ゴゴゴゴゴ、という音がするような感じで、妙な迫力がある。
「わぁ、綺麗な人」
ソフィアの様子に気づいているのかいないのか、ミントは呑気な声をこぼす。
花が咲いたように、にっこりと笑う。
そして、ソフィアに手を差し出した。
「こんにちは。私、ミントっていいます。あなたは?」
「……ソフィア・アスカルトです」
ミントの無邪気な笑顔に毒気を抜かれた様子で、ソフィアは素直に答えた。
そんな彼女の台詞を聞いて、ミントは目を丸くして……
「わぁ!」
再び笑顔の花を咲かせた。
「あなたがソフィアさんなんですね! あ、名前で呼んでもいいですか?」
「え? あ、はい。いいですけど……」
「ありがとうございますー、よろしくですー」
「えっと……」
ミントの明るい笑顔に困惑した様子で、ソフィアがこちらを見た。
どうすればいいの?
そう言いたいみたいだけど……
でも、僕に振られても困る。
ミントはふわふわとした性格で、なにを考えているのかよくわからないところがある。
昔も色々と振り回されたものだ。
「ふぅ」
僕から事情を聞くのを諦めた様子で、ソフィアはミントに視線を戻す。
「えっと……どうして私のことを知っているのですか?」
「フェイトの大事な人なんですよね?」
「え?」
「何度も何度もお話を聞いていましたよ。とても綺麗な子がいるんだー。一番大事なんだー。いつか結婚するって約束したんだー、って」
「ふぁ!?」
妙な声を発して、ソフィアは顔を真っ赤にした。
そして、たぶん、僕も顔を赤くしていて……
「ふぇ、フェイトがそんなことを言っていたのですか……?」
「うんうん。毎日のように、楽しそうに、幸せそうに言っていましたよー」
「はぅ」
照れていた。
ものすごく照れていた。
そんなソフィアに、ミントは、僕が昔どうこうしていたことをさらに語る。
何度もソフィアのことを口にしていたことを語り……
「ご、ごめんなさい!!!」
ついに耐えられなくなり、ソフィアはどこかへ逃げ出してしまった。
「あれ? どうしたんだろう?」
「ミント……今の褒め殺しというか、照れ殺し? わざとなの?」
「え? なんのこと?」
うん。
やっぱり、今も昔も、ミントは天然だった。
でも、それが懐かしくて……
ついつい笑みがこぼれてしまうのだった。
――――――――――
買い物を終えた後、家で合流した。
ミントも一緒で、久しぶりの再会を楽しむことに。
「お邪魔します」
「おう、ミントちゃんか。久しぶりだな」
「はい、久しぶりですー」
父さんとミントが笑顔で話をしていた。
聞けば、僕がいないと接点がなかったらしく、あまり話をしていないとか。
もうちょっと近所交流しようよ。
「しかし、フェイトもやるな」
「え、なにが?」
「ミントちゃんにソフィアの嬢ちゃん。二人も上玉を捕まえるなんてな」
「え? え?」
「で、どっちが本命なんだ?」
「「っ!?」」
父さんがそんなバカな発言をした瞬間、ソフィアとミントが、一瞬、目を光らせたような気がした。
「そ、それは……」
「それは?」
「……そ、そんなことよりも! 僕達はダンジョンの攻略をしないといけないから!」
「逃げましたね」
「逃げたねー」
「ヘタれね」
女性陣からの容赦のない口撃。
状況がよくわからないアイシャは、キョトンとしてて。
同じく、スノウは呑気にあくびをこぼしていた。
「ま、ダンジョンの攻略は明日にしとけ」
「まさか、父さんもそういう話をしたいの?」
「違う違う。ちと天気が悪いだろ? 今から出たら、たぶん、雨に降られるぞ。そうなるよりは、晴れの日に出た方がいいだろ」
「それは、まあ」
「それに、母さんももうすぐ帰ってくるからな。急ぎでないなら、まずは母さんに顔を見せてやれ」
「……うん」
確かに、父さんの言う通り母さんに顔を見せることは大事だ。
ずっと心配をかけていただろうし……
安心させてあげないと。
「で……本命はどっちなんだ?」
「父さん……その野次馬根性、どうにかしてよ」
困った父さんだった。