「えっと……」
突然すぎる再会。
そして、本当に久しぶりの再会。
家に戻ったら色々なことを話そうと思っていたのだけど、でも、それらの言葉はぽーんと頭の外に飛び出してしまう。
なにを言えばいいかわからなくて、口を開け閉めしてしまう。
「久しぶりだな、フェイト!」
「わわわっ」
ガシガシと頭を乱暴に撫でられた。
髪が乱れる!?
というか、ちょっと痛い!?
「と、父さん……!?」
「おいおい、なに逃げようとしてるんだよ。久しぶりの再会なんだから、頭くらい撫でさせろや」
「そ、そう言われても、ちょっと力が強いというか……いたたたっ」
「おいおい、これくらいで痛いのか? まったく、相変わらずもやしっ子なんだな。そんなんじゃ冒険者になれねーぞ」
「そ、そんなことないから! 僕はもう冒険者だから!」
「はっはっは、冗談の腕は増したようだな」
信じてもらえない……
がくりと肩を落としてしまう。
「フェイトは立派な冒険者ですよ」
にっこりと笑いつつ、ソフィアが間に入る。
「おや? 嬢ちゃんは……」
「お久しぶりです、エイジさん。ソフィア・アスカルトです。覚えているでしょうか?」
「お……おーっ! ソフィア嬢ちゃんか! もちろん覚えているぜ。まさか、こんな美人に育っているなんてな」
僕からソフィアに興味が移ったらしい。
父さんは今まで以上の笑顔で、ソフィアの肩をバシバシと叩く。
女の子にする挨拶じゃない。
でも、ソフィアはなにも気にしていない様子で、にこにこと笑っていた。
「どうして、ソフィア嬢ちゃんが一緒に……ああ、そうか。お前ら、結婚したのか?」
「「えっ」」
「なんで驚くんだ? 一緒にいた頃、すごく仲良くしていたじゃねえか。俺は確信したね。俺とアミラのように、お似合いの夫婦になるってな」
「「……」」
ものすごく恥ずかしくなって、顔が熱くなる。
そういう風に見られて、そういう風に言われることはうれしいけど……
でも、まだ結婚はしていないわけで……
あと、恥ずかしさが先行するわけで……
「おっ? そういや、そこのちびっこコンビはどうしたんだ?」
「あう」
アイシャは人見知りをして、僕の後ろに隠れてしまう。
スノウも同じように、僕の後ろに隠れてしまう。
「えっと……」
「おとーさん、この人、だれ?」
説明をしようとしたところで、アイシャが僕のことを「おとーさん」と呼んでしまう。
まずい。
ややこしい事態に……
「俺は、エイジ。フェイトの親父だな」
ややこしい事態にならず、父さんはしゃがみ、アイシャと目線を合わせて言う。
「つまり、おじいちゃんになる、っていうわけだ」
「おじーちゃん? おとーさんの方のおじーちゃん?」
「おう」
「おじーちゃん!」
「オンッ!」
その一言で気を許したらしく、アイシャとスノウは父さんに抱きついた。
父さんはしっかりと二人を受け止めて、それぞれ頭を撫でる。
その際、ちらりと獣人の尻尾に視線がいったものの、なにか口にすることはない。
僕らの事情はなにもわからないだろう。
でも、深く聞くのは後回し。
今はアイシャとスノウを可愛がることを優先した、という感じだった。
「……こう言ってはなんですが、フェイトのお父さまは乱雑な方に見えましたが、違いましたね。とても優しく、気遣いができる方なのですね」
「……うん。自慢の父さんだよ」
小声で、そんなやりとりをした。
「ところで、宿はいらない、って……?」
「里帰りしたってのに、宿を取る必要なんてないだろ」
「でも、僕達が行くと、さすがに狭いでしょう?」
「大丈夫だ、問題ない」
やけに自信たっぷりに言うのだけど……
でも、家はそんなに広くなかったはず。
一人二人ならともかく、四人もやってくると、寝場所に困るはずなのだけど……
まあ、父さんがこう言うのだから、本当に問題はないのだろう。
変な気遣いをすることなく、ウソはつかない人だ。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
みんなでお世話になろう。
「おいおい、ちげえだろ」
「え?」
「こういう時は、違う言葉を使うだろ?」
「あ……」
僕は目を大きくして……
次いで、ふんわりと笑う。
「ただいま、父さん」
「おかえり、息子よ」
突然すぎる再会。
そして、本当に久しぶりの再会。
家に戻ったら色々なことを話そうと思っていたのだけど、でも、それらの言葉はぽーんと頭の外に飛び出してしまう。
なにを言えばいいかわからなくて、口を開け閉めしてしまう。
「久しぶりだな、フェイト!」
「わわわっ」
ガシガシと頭を乱暴に撫でられた。
髪が乱れる!?
というか、ちょっと痛い!?
「と、父さん……!?」
「おいおい、なに逃げようとしてるんだよ。久しぶりの再会なんだから、頭くらい撫でさせろや」
「そ、そう言われても、ちょっと力が強いというか……いたたたっ」
「おいおい、これくらいで痛いのか? まったく、相変わらずもやしっ子なんだな。そんなんじゃ冒険者になれねーぞ」
「そ、そんなことないから! 僕はもう冒険者だから!」
「はっはっは、冗談の腕は増したようだな」
信じてもらえない……
がくりと肩を落としてしまう。
「フェイトは立派な冒険者ですよ」
にっこりと笑いつつ、ソフィアが間に入る。
「おや? 嬢ちゃんは……」
「お久しぶりです、エイジさん。ソフィア・アスカルトです。覚えているでしょうか?」
「お……おーっ! ソフィア嬢ちゃんか! もちろん覚えているぜ。まさか、こんな美人に育っているなんてな」
僕からソフィアに興味が移ったらしい。
父さんは今まで以上の笑顔で、ソフィアの肩をバシバシと叩く。
女の子にする挨拶じゃない。
でも、ソフィアはなにも気にしていない様子で、にこにこと笑っていた。
「どうして、ソフィア嬢ちゃんが一緒に……ああ、そうか。お前ら、結婚したのか?」
「「えっ」」
「なんで驚くんだ? 一緒にいた頃、すごく仲良くしていたじゃねえか。俺は確信したね。俺とアミラのように、お似合いの夫婦になるってな」
「「……」」
ものすごく恥ずかしくなって、顔が熱くなる。
そういう風に見られて、そういう風に言われることはうれしいけど……
でも、まだ結婚はしていないわけで……
あと、恥ずかしさが先行するわけで……
「おっ? そういや、そこのちびっこコンビはどうしたんだ?」
「あう」
アイシャは人見知りをして、僕の後ろに隠れてしまう。
スノウも同じように、僕の後ろに隠れてしまう。
「えっと……」
「おとーさん、この人、だれ?」
説明をしようとしたところで、アイシャが僕のことを「おとーさん」と呼んでしまう。
まずい。
ややこしい事態に……
「俺は、エイジ。フェイトの親父だな」
ややこしい事態にならず、父さんはしゃがみ、アイシャと目線を合わせて言う。
「つまり、おじいちゃんになる、っていうわけだ」
「おじーちゃん? おとーさんの方のおじーちゃん?」
「おう」
「おじーちゃん!」
「オンッ!」
その一言で気を許したらしく、アイシャとスノウは父さんに抱きついた。
父さんはしっかりと二人を受け止めて、それぞれ頭を撫でる。
その際、ちらりと獣人の尻尾に視線がいったものの、なにか口にすることはない。
僕らの事情はなにもわからないだろう。
でも、深く聞くのは後回し。
今はアイシャとスノウを可愛がることを優先した、という感じだった。
「……こう言ってはなんですが、フェイトのお父さまは乱雑な方に見えましたが、違いましたね。とても優しく、気遣いができる方なのですね」
「……うん。自慢の父さんだよ」
小声で、そんなやりとりをした。
「ところで、宿はいらない、って……?」
「里帰りしたってのに、宿を取る必要なんてないだろ」
「でも、僕達が行くと、さすがに狭いでしょう?」
「大丈夫だ、問題ない」
やけに自信たっぷりに言うのだけど……
でも、家はそんなに広くなかったはず。
一人二人ならともかく、四人もやってくると、寝場所に困るはずなのだけど……
まあ、父さんがこう言うのだから、本当に問題はないのだろう。
変な気遣いをすることなく、ウソはつかない人だ。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
みんなでお世話になろう。
「おいおい、ちげえだろ」
「え?」
「こういう時は、違う言葉を使うだろ?」
「あ……」
僕は目を大きくして……
次いで、ふんわりと笑う。
「ただいま、父さん」
「おかえり、息子よ」