振り返ると、リコリスを頭に乗せたアイシャの姿が。
どうしてここに!?
慌ててリコリスを見ると、目が合い、ごめんごめんというジェスチャーをされる。
文句を言おうとして……
でも、リコリスがぽんぽんとアイシャの頭を叩いた。
「この子を信じてあげなさいよ」
そう言われたら、もうなにもできない。
僕達がスノウのことを心配しているように、アイシャも気にかけている。
どうにかしたいと思っている。
そんな当たり前のことを忘れていた。
「っ」
今すぐ駆け出して、安全なところに避難させたい。
でも、それが正しい選択とは限らない。
僕がやるべきことは、アイシャを見守ることだ。
「スノウ」
アイシャは一歩、前に出てスノウに近づいた。
頭の上のリコリスがビクリと震えて、怯えたような気がするが……
まあ、それは見なかったことにしておく。
「ウゥ……!」
「大丈夫だよ」
スノウは威嚇するが、アイシャは逃げない。
怯えることもない。
いつもの優しい顔をして、おいでというように両手を広げる。
そんな彼女を見て、スノウの方が怯えるように、一歩下がる。
アイシャはなにもしていない。
ただ、いつものように微笑んでいるだけ。
それなのに、スノウが気圧されていた。
「ガゥ……ウウウゥ……!?」
スノウが苦しんでいた。
たぶん、己の破壊衝動と戦っているのだろう。
理由はわからないけど、今のような姿になって暴走してしまい、なにもかも壊してしまいたいという衝動に駆られた。
それはアイシャも例外ではなくて、彼女に牙を突き立てようとした。
でも、そんなことはしたくない。
絶対にしたくない。
そんな良心が戦っているらしく、スノウが苦しそうにする。
「がんばって」
アイシャはさらに距離を詰めた。
もう目と鼻の距離にスノウがいる。
大きくなったスノウを見上げて……
にっこりと笑う。
「帰ろう?」
「アァアアアアア……!!!」
スノウが吠えて……
「スノウ」
アイシャは、そっとスノウに触れた。
瞬間、光があふれた。
「うっ……な、なんですか、これは!?」
「わからないけど、でも……」
嫌な感じはしない。
むしろ、温かくて心地よくて……
この光を浴びていると、とても優しい気持ちになることができた。
「ん」
光の源はアイシャだ。
なにが起きているのかさっぱりわからないけど、アイシャが輝いていた。
髪がゆらゆらと揺れて……
尻尾がふわりと揺れて……
そんな中で、白銀の光を放っている。
膨大な魔力があふれている?
いや、でも魔法という感じはしない。
リコリスもなにが起きているかわからないらしく、ぽかんとしていた。
「スノウ、帰ろう?」
「……クゥン」
すごい。
スノウが少しずつ小さく……元の大きさに戻っていく。
黒くなっていた毛も、元の銀色に戻っていく。
「これ……アイシャがやっていることなのかな?」
「わかりません……」
僕とソフィアは、もう、呆然とするしかない。
人智を超えた現象と言っても過言じゃないと思う。
そして……
「オンッ! ハッハッハッ……!!!」
「ふふ、よしよし」
元の姿に戻ったスノウは、母親に甘えるかのように、アイシャの胸に飛び込んだ。
アイシャは、小さな子犬をしっかりと受け止めて……
とびっきりの笑みを浮かべるのだった。
どうしてここに!?
慌ててリコリスを見ると、目が合い、ごめんごめんというジェスチャーをされる。
文句を言おうとして……
でも、リコリスがぽんぽんとアイシャの頭を叩いた。
「この子を信じてあげなさいよ」
そう言われたら、もうなにもできない。
僕達がスノウのことを心配しているように、アイシャも気にかけている。
どうにかしたいと思っている。
そんな当たり前のことを忘れていた。
「っ」
今すぐ駆け出して、安全なところに避難させたい。
でも、それが正しい選択とは限らない。
僕がやるべきことは、アイシャを見守ることだ。
「スノウ」
アイシャは一歩、前に出てスノウに近づいた。
頭の上のリコリスがビクリと震えて、怯えたような気がするが……
まあ、それは見なかったことにしておく。
「ウゥ……!」
「大丈夫だよ」
スノウは威嚇するが、アイシャは逃げない。
怯えることもない。
いつもの優しい顔をして、おいでというように両手を広げる。
そんな彼女を見て、スノウの方が怯えるように、一歩下がる。
アイシャはなにもしていない。
ただ、いつものように微笑んでいるだけ。
それなのに、スノウが気圧されていた。
「ガゥ……ウウウゥ……!?」
スノウが苦しんでいた。
たぶん、己の破壊衝動と戦っているのだろう。
理由はわからないけど、今のような姿になって暴走してしまい、なにもかも壊してしまいたいという衝動に駆られた。
それはアイシャも例外ではなくて、彼女に牙を突き立てようとした。
でも、そんなことはしたくない。
絶対にしたくない。
そんな良心が戦っているらしく、スノウが苦しそうにする。
「がんばって」
アイシャはさらに距離を詰めた。
もう目と鼻の距離にスノウがいる。
大きくなったスノウを見上げて……
にっこりと笑う。
「帰ろう?」
「アァアアアアア……!!!」
スノウが吠えて……
「スノウ」
アイシャは、そっとスノウに触れた。
瞬間、光があふれた。
「うっ……な、なんですか、これは!?」
「わからないけど、でも……」
嫌な感じはしない。
むしろ、温かくて心地よくて……
この光を浴びていると、とても優しい気持ちになることができた。
「ん」
光の源はアイシャだ。
なにが起きているのかさっぱりわからないけど、アイシャが輝いていた。
髪がゆらゆらと揺れて……
尻尾がふわりと揺れて……
そんな中で、白銀の光を放っている。
膨大な魔力があふれている?
いや、でも魔法という感じはしない。
リコリスもなにが起きているかわからないらしく、ぽかんとしていた。
「スノウ、帰ろう?」
「……クゥン」
すごい。
スノウが少しずつ小さく……元の大きさに戻っていく。
黒くなっていた毛も、元の銀色に戻っていく。
「これ……アイシャがやっていることなのかな?」
「わかりません……」
僕とソフィアは、もう、呆然とするしかない。
人智を超えた現象と言っても過言じゃないと思う。
そして……
「オンッ! ハッハッハッ……!!!」
「ふふ、よしよし」
元の姿に戻ったスノウは、母親に甘えるかのように、アイシャの胸に飛び込んだ。
アイシャは、小さな子犬をしっかりと受け止めて……
とびっきりの笑みを浮かべるのだった。