「じゃあ、そこの椅子に座ってくれる?」
「うん」
言われるまま、アイシャは椅子に座った。
椅子は普通のものだけど、周囲によくわからないものが設置されていた。
「えっと……これはなんですか?」
「魔力とかを測定するための魔道具よ。害があるものじゃないから、安心して」
それならいいんだけど……
でも、見たことのないものがたくさんだ。
ソフィアも知らないらしく、一緒に首を傾げていた。
「へえ……マジックコントロールシステムに、エリアスペクトル。それに、思念測定装置まであるなんてすごいわね」
「え……リコリスは、これらの魔道具がなんなのか知っているの?」
「もちろんよ! この私を誰だと思っているの? パーフェクトビューティフル天才美少女妖精リコリスちゃんよ!」
「意外ですね……」
「ちょっとソフィア、しみじみと言わないでくれる?」
「……意外……」
「アイシャにまで言われた!?」
いつでもどんな時でも元気なリコリスだった。
ただ、そのおかげでリラックスできたらしい。
検査と聞いて、ちょっと緊張した様子を見せていたアイシャだけど、今は落ち着いた様子で尻尾をゆらゆらとさせていた。
「はいはーい、じゃあ測定するわよ」
合図をするように言うと、ライラさんは測定を開始した。
メジャーを取り出して、アイシャの身長を測る。
胸囲と座位も測定。
その次は体重。
そして、視力検査。
それから……
「……ねえ、ライラさん」
「なにかしら?」
「せっかくの機会だから、アイシャの体についての検査もしようとしてない?」
「ぎくっ」
わかりやすい反応だった。
「ライラさん?」
「ち、違うのよ? これは、えっと……ほら。もしかしたら、変な病気をどこかでもらっているかもしれないじゃない? あるいは、成長が遅れているとか、そういう問題もあるかもしれないし……そういうのも調べておいた方がいいかなー、なんて言い訳を……」
「「はあ」」
ソフィアと同時にため息をついた。
この人、獣人が関わるとちょくちょく暴走するな。
まあ、言う通り、害があるわけじゃないからいいけど。
「一理あるので、ひとまず、ライラさんの言う通りにしますが……アイシャちゃんが嫌がることはしないでくださいね? もしも、そんなことをしたら……ふふふ」
「約束します!!!」
ソフィアの怖い笑みに、ライラさんは直立不動で答えた。
それから、いくつかの検査をして……
ようやく、本題である魔力測定が行われることに。
「アイシャちゃん、そのままじっとしててね」
「ん」
ライラさんが、周囲の魔道具を一つずつ起動させていく。
ブゥンという音が響いた。
ただ、それだけ。
目に見えた変化はなにもない。
「んー」
ただ、アイシャはなにか感じているらしい。
落ち着きのない様子で、尻尾をパタパタとさせ始めた。
それを見たソフィアが心配そうな顔に。
「アイシャちゃん、大丈夫ですか? なにか痛いとか、ありますか?」
「ううん、大丈夫だよ」
「そうですか……」
「お嬢さまにご不快な思いはさせないように、細心の注意を払いたいと思います!」
ソフィアに睨まれて、ライラさんは再び直立不動で答えた。
なんとなく、ソフィアがテイマーに見えた。
「ほうほう、これは……」
なにかしらの検査結果が見えているらしく、ライラさんは興味深そうな顔に。
ただ、それも少しの間だけ。
ほどなくして驚愕の表情に変わり、目が大きく開かれる。
「え……これ、マジで? こんな数値……」
ボンッ!」
「ひゃう!?」
「うわっ」
いきなり周囲の魔道具が壊れた。
一斉に煙を吹いて、停止してしまう。
「おかーさん!」
「大丈夫ですよ、アイシャちゃん。お母さんとお父さんがここにいますからね、よしよし」
怯えるアイシャをなだめるソフィア。
それから、ギッとライラさんを睨みつける。
「アイシャちゃんを怯えさせるなんて……どういうことですか?」
「ひぃっ」
「ソフィア、ストップ。別に、わざとやったわけじゃないと思うから」
ライラさんの反応を見る限り、突発的なトラブルだと思う。
それを攻めるというのは、さすがに酷な気がした。
「そ、そうなのよ。フェイトくんの言う通り。まさか、こんなことになるなんて……」
「いったい、なにが起きたんですか? アイシャに害はないですよね?」
「それは大丈夫。魔道具が壊れただけで、アイシャちゃんにはなにもないわ」
「よかった……」
でも、なにが起きたのだろう?
ライラさんを見ると、すぐに説明をしてくれる。
「どうも、魔道具の限界を超えちゃったみたい」
「と、いうと?」
「アイシャちゃんの魔力がとんでもなさすぎて、測定しきれなくて壊れちゃった、っていう感じかな」
「アイシャの魔力が……?」
思わずアイシャを見てしまう。
彼女は特に自覚がないらしく、キョトンとしていた。
「それは本当なのですか?」
「十中八九、間違いないと思うわ。アイシャちゃんは、とんでもない魔力を持っている」
「どのくらいなのです?」
「規格外、って言葉がぴったりかしら? 最上位の魔法使いに送られる称号『賢者』。その賢者でさえ、足元に及ばないほどの魔力を持っていると思う」
「アイシャちゃんが……」
「そんなことに……」
思わぬ事実を告げられて、僕とソフィアは驚きの目をアイシャにやる。
獣人は、とても強い魂を持っているという。
なればこそ、魔力も強いのだろうか?
「うん」
言われるまま、アイシャは椅子に座った。
椅子は普通のものだけど、周囲によくわからないものが設置されていた。
「えっと……これはなんですか?」
「魔力とかを測定するための魔道具よ。害があるものじゃないから、安心して」
それならいいんだけど……
でも、見たことのないものがたくさんだ。
ソフィアも知らないらしく、一緒に首を傾げていた。
「へえ……マジックコントロールシステムに、エリアスペクトル。それに、思念測定装置まであるなんてすごいわね」
「え……リコリスは、これらの魔道具がなんなのか知っているの?」
「もちろんよ! この私を誰だと思っているの? パーフェクトビューティフル天才美少女妖精リコリスちゃんよ!」
「意外ですね……」
「ちょっとソフィア、しみじみと言わないでくれる?」
「……意外……」
「アイシャにまで言われた!?」
いつでもどんな時でも元気なリコリスだった。
ただ、そのおかげでリラックスできたらしい。
検査と聞いて、ちょっと緊張した様子を見せていたアイシャだけど、今は落ち着いた様子で尻尾をゆらゆらとさせていた。
「はいはーい、じゃあ測定するわよ」
合図をするように言うと、ライラさんは測定を開始した。
メジャーを取り出して、アイシャの身長を測る。
胸囲と座位も測定。
その次は体重。
そして、視力検査。
それから……
「……ねえ、ライラさん」
「なにかしら?」
「せっかくの機会だから、アイシャの体についての検査もしようとしてない?」
「ぎくっ」
わかりやすい反応だった。
「ライラさん?」
「ち、違うのよ? これは、えっと……ほら。もしかしたら、変な病気をどこかでもらっているかもしれないじゃない? あるいは、成長が遅れているとか、そういう問題もあるかもしれないし……そういうのも調べておいた方がいいかなー、なんて言い訳を……」
「「はあ」」
ソフィアと同時にため息をついた。
この人、獣人が関わるとちょくちょく暴走するな。
まあ、言う通り、害があるわけじゃないからいいけど。
「一理あるので、ひとまず、ライラさんの言う通りにしますが……アイシャちゃんが嫌がることはしないでくださいね? もしも、そんなことをしたら……ふふふ」
「約束します!!!」
ソフィアの怖い笑みに、ライラさんは直立不動で答えた。
それから、いくつかの検査をして……
ようやく、本題である魔力測定が行われることに。
「アイシャちゃん、そのままじっとしててね」
「ん」
ライラさんが、周囲の魔道具を一つずつ起動させていく。
ブゥンという音が響いた。
ただ、それだけ。
目に見えた変化はなにもない。
「んー」
ただ、アイシャはなにか感じているらしい。
落ち着きのない様子で、尻尾をパタパタとさせ始めた。
それを見たソフィアが心配そうな顔に。
「アイシャちゃん、大丈夫ですか? なにか痛いとか、ありますか?」
「ううん、大丈夫だよ」
「そうですか……」
「お嬢さまにご不快な思いはさせないように、細心の注意を払いたいと思います!」
ソフィアに睨まれて、ライラさんは再び直立不動で答えた。
なんとなく、ソフィアがテイマーに見えた。
「ほうほう、これは……」
なにかしらの検査結果が見えているらしく、ライラさんは興味深そうな顔に。
ただ、それも少しの間だけ。
ほどなくして驚愕の表情に変わり、目が大きく開かれる。
「え……これ、マジで? こんな数値……」
ボンッ!」
「ひゃう!?」
「うわっ」
いきなり周囲の魔道具が壊れた。
一斉に煙を吹いて、停止してしまう。
「おかーさん!」
「大丈夫ですよ、アイシャちゃん。お母さんとお父さんがここにいますからね、よしよし」
怯えるアイシャをなだめるソフィア。
それから、ギッとライラさんを睨みつける。
「アイシャちゃんを怯えさせるなんて……どういうことですか?」
「ひぃっ」
「ソフィア、ストップ。別に、わざとやったわけじゃないと思うから」
ライラさんの反応を見る限り、突発的なトラブルだと思う。
それを攻めるというのは、さすがに酷な気がした。
「そ、そうなのよ。フェイトくんの言う通り。まさか、こんなことになるなんて……」
「いったい、なにが起きたんですか? アイシャに害はないですよね?」
「それは大丈夫。魔道具が壊れただけで、アイシャちゃんにはなにもないわ」
「よかった……」
でも、なにが起きたのだろう?
ライラさんを見ると、すぐに説明をしてくれる。
「どうも、魔道具の限界を超えちゃったみたい」
「と、いうと?」
「アイシャちゃんの魔力がとんでもなさすぎて、測定しきれなくて壊れちゃった、っていう感じかな」
「アイシャの魔力が……?」
思わずアイシャを見てしまう。
彼女は特に自覚がないらしく、キョトンとしていた。
「それは本当なのですか?」
「十中八九、間違いないと思うわ。アイシャちゃんは、とんでもない魔力を持っている」
「どのくらいなのです?」
「規格外、って言葉がぴったりかしら? 最上位の魔法使いに送られる称号『賢者』。その賢者でさえ、足元に及ばないほどの魔力を持っていると思う」
「アイシャちゃんが……」
「そんなことに……」
思わぬ事実を告げられて、僕とソフィアは驚きの目をアイシャにやる。
獣人は、とても強い魂を持っているという。
なればこそ、魔力も強いのだろうか?