「……ふむふむ、なるほどねー」
こちらの事情を説明して……
ライラさんは、難しい顔をして頷いてみせた。
「魔剣か。そんなものがあるなんて、驚きだねー」
「一応、このことは内密にお願いします」
魔剣は大きな力を秘めていて、誰もが強くなることができる。
ただ、使用者を狂わせてしまうなど、呪われているような一面もある。
そんな武器があることが知られれば、どうなるか?
危険だとわかっていても、手を伸ばす人は出てくるだろう。
冒険者ギルドの上層部などには報告をしているものの、一般には公にしていない。
事故、事件を避けるためだ。
「うん、了解。安心して。私は口が硬い方だからね」
「お願いしますね」
ソフィアはにっこりと笑うものの、圧を放っている。
もしも喋ったらどうなるか? と釘を刺しているみたいだ。
ただ、そんなことは知らんとばかりに、ライラさんの態度は変わらない。
この人も、ある意味で大物なのだろう。
「で……その魔剣を使う連中が、この子を狙っていたと?」
「うん。そのことで、なにか知っていること、気づいたことはないかな……って、ライラさんに話を聞きたくて」
「なるほど、なるほど」
頷きつつ、ライラさんはアイシャをじっと見つめる。
「うぅ……」
アイシャは、少し居心地が悪そうだ。
ライラさんの最初のハイテンションな様子に怯えているのかもしれない。
「はいはーい、怯えないの」
「でも……」
「大丈夫よ。この女はちょっとおかしいだけで、悪いヤツじゃないわ。たぶん」
「そう、なの?」
「悪いヤツだったとしても、その時は、あたしがのしてあげる。こう、シュッシュッ、ってね。リコリスちゃんパンチは岩を砕くのよ」
アイシャの頭の上で、リコリスがパンチをしてみせる。
頼りになるというよりは微笑ましい感じだ。
それでもアイシャは安心したらしく、落ち着きなく揺れていた尻尾が止まった。
「私は悪い人じゃないわ。ただ、獣人にとても興味があるだけ」
「痛いこと、しない?」
「しないしない。約束するわ。むしろ、甘いものをあげる」
「わぁ」
飴をもらい、アイシャは笑顔になる。
「それで、アイシャが狙われる理由などはわかりませんか?」
「うーん……ちょっと心当たりはないわね」
ソフィアの問いかけに、ライラは首を横に振る。
「魔剣ってのは、今知ったばかりだから。それが、どんな風に獣人と関わりがあるのか? さすがにわからないわね」
「そうですか……」
「ただ、調べればある程度のことはわかると思うのよね。時間はかかるけど、私も興味があるからやってみたいけど……どうする?」
ソフィアがこちらを見る。
僕は頷いた。
「お願いします」
「うん、りょーかい。魔剣と獣人の関連について、これから調べてみるわ。あ、二人は情報提供お願いね」
「はい」
ひとまず話がまとまった。
ただ、せっくなので色々な話を聞いておきたい。
「獣人について教えてくれませんか?」
「お、少年も獣人に興味があるのかい?」
「はい」
ライラさんが持つ興味とは方向性が違うのだけど……
でも、興味があるのは事実だ。
アイシャに関することなので、獣人に関する知識を増やしておくことに問題はないはず。
ソフィアも同じ考えらしく、話を聞かせてほしいと言う。
「よーし。それじゃあ、獣人についての講義を始めようかな。私が先生で、キミ達が生徒だ」
ライラさんは楽しそうだ。
研究者だから、自分の成果を発表することはうれしいのかな?
「じゃあ、獣人についての講義を始めるけど……その前に、二人に質問。獣人について、どれだけの知識を持っている?」
「え、なんであたしはスルーなの?」
リコリスが不満そうに言うものの、ライラさんは気にしない。
「さ、どれくらい知っているのかしら?」
「えっと……僕達人間と似た種族で、動物の耳とか尻尾が生えている」
「身体能力は高く、とても長命。ただ、数が少なくて、ほとんど見かけない……でしょうか」
「なるほど、そんなところか」
僕達の話を聞いたライラさんは、考えるように頷いた。
ややあって、口を開く。
「二人の認識は間違ってないけど、ちょっと情報が足りないわね。私の研究で得た情報を足しておくわ」
そう言って、ライラさんは獣人についての情報を並べていく。
いつ、どこで誕生したのか?
それは不明だけど、獣人は遥か昔から存在している。
外見は人間とほぼ同じだけど、動物の耳と尻尾を持つという違いがある。
その身体能力、生命力はかなり高い。
大きな岩を片手で持ち上げたり、数百年を生きたりするという。
ただ、個体数はかなり少ない。
人前に姿を見せることなく、人気のない山奥などで集落を築いていることがほとんど。
人間を嫌っているのではないか? という推測も成り立つ。
「……とまあ、これが私が持つ、獣人についての基本的な情報ね」
「その話を聞いた限りでは、アイシャちゃんが狙われる理由は不明ですね……」
ソフィアと同じく、理由が思い浮かばない。
ただ、ライラさんは違うらしく、話を続ける。
「根拠はなにもないんだけど……一つ、仮説を立てることができるわ」
「それは?」
「彼女の魂を狙っている」
こちらの事情を説明して……
ライラさんは、難しい顔をして頷いてみせた。
「魔剣か。そんなものがあるなんて、驚きだねー」
「一応、このことは内密にお願いします」
魔剣は大きな力を秘めていて、誰もが強くなることができる。
ただ、使用者を狂わせてしまうなど、呪われているような一面もある。
そんな武器があることが知られれば、どうなるか?
危険だとわかっていても、手を伸ばす人は出てくるだろう。
冒険者ギルドの上層部などには報告をしているものの、一般には公にしていない。
事故、事件を避けるためだ。
「うん、了解。安心して。私は口が硬い方だからね」
「お願いしますね」
ソフィアはにっこりと笑うものの、圧を放っている。
もしも喋ったらどうなるか? と釘を刺しているみたいだ。
ただ、そんなことは知らんとばかりに、ライラさんの態度は変わらない。
この人も、ある意味で大物なのだろう。
「で……その魔剣を使う連中が、この子を狙っていたと?」
「うん。そのことで、なにか知っていること、気づいたことはないかな……って、ライラさんに話を聞きたくて」
「なるほど、なるほど」
頷きつつ、ライラさんはアイシャをじっと見つめる。
「うぅ……」
アイシャは、少し居心地が悪そうだ。
ライラさんの最初のハイテンションな様子に怯えているのかもしれない。
「はいはーい、怯えないの」
「でも……」
「大丈夫よ。この女はちょっとおかしいだけで、悪いヤツじゃないわ。たぶん」
「そう、なの?」
「悪いヤツだったとしても、その時は、あたしがのしてあげる。こう、シュッシュッ、ってね。リコリスちゃんパンチは岩を砕くのよ」
アイシャの頭の上で、リコリスがパンチをしてみせる。
頼りになるというよりは微笑ましい感じだ。
それでもアイシャは安心したらしく、落ち着きなく揺れていた尻尾が止まった。
「私は悪い人じゃないわ。ただ、獣人にとても興味があるだけ」
「痛いこと、しない?」
「しないしない。約束するわ。むしろ、甘いものをあげる」
「わぁ」
飴をもらい、アイシャは笑顔になる。
「それで、アイシャが狙われる理由などはわかりませんか?」
「うーん……ちょっと心当たりはないわね」
ソフィアの問いかけに、ライラは首を横に振る。
「魔剣ってのは、今知ったばかりだから。それが、どんな風に獣人と関わりがあるのか? さすがにわからないわね」
「そうですか……」
「ただ、調べればある程度のことはわかると思うのよね。時間はかかるけど、私も興味があるからやってみたいけど……どうする?」
ソフィアがこちらを見る。
僕は頷いた。
「お願いします」
「うん、りょーかい。魔剣と獣人の関連について、これから調べてみるわ。あ、二人は情報提供お願いね」
「はい」
ひとまず話がまとまった。
ただ、せっくなので色々な話を聞いておきたい。
「獣人について教えてくれませんか?」
「お、少年も獣人に興味があるのかい?」
「はい」
ライラさんが持つ興味とは方向性が違うのだけど……
でも、興味があるのは事実だ。
アイシャに関することなので、獣人に関する知識を増やしておくことに問題はないはず。
ソフィアも同じ考えらしく、話を聞かせてほしいと言う。
「よーし。それじゃあ、獣人についての講義を始めようかな。私が先生で、キミ達が生徒だ」
ライラさんは楽しそうだ。
研究者だから、自分の成果を発表することはうれしいのかな?
「じゃあ、獣人についての講義を始めるけど……その前に、二人に質問。獣人について、どれだけの知識を持っている?」
「え、なんであたしはスルーなの?」
リコリスが不満そうに言うものの、ライラさんは気にしない。
「さ、どれくらい知っているのかしら?」
「えっと……僕達人間と似た種族で、動物の耳とか尻尾が生えている」
「身体能力は高く、とても長命。ただ、数が少なくて、ほとんど見かけない……でしょうか」
「なるほど、そんなところか」
僕達の話を聞いたライラさんは、考えるように頷いた。
ややあって、口を開く。
「二人の認識は間違ってないけど、ちょっと情報が足りないわね。私の研究で得た情報を足しておくわ」
そう言って、ライラさんは獣人についての情報を並べていく。
いつ、どこで誕生したのか?
それは不明だけど、獣人は遥か昔から存在している。
外見は人間とほぼ同じだけど、動物の耳と尻尾を持つという違いがある。
その身体能力、生命力はかなり高い。
大きな岩を片手で持ち上げたり、数百年を生きたりするという。
ただ、個体数はかなり少ない。
人前に姿を見せることなく、人気のない山奥などで集落を築いていることがほとんど。
人間を嫌っているのではないか? という推測も成り立つ。
「……とまあ、これが私が持つ、獣人についての基本的な情報ね」
「その話を聞いた限りでは、アイシャちゃんが狙われる理由は不明ですね……」
ソフィアと同じく、理由が思い浮かばない。
ただ、ライラさんは違うらしく、話を続ける。
「根拠はなにもないんだけど……一つ、仮説を立てることができるわ」
「それは?」
「彼女の魂を狙っている」