14話 第三のテスト・フェイト視点
「はぁ……はぁ……はぁ……」
軽く息が乱れてきた。
因縁の相手と戦うということで、緊張しているのかもしれない。
少しずつ体が重くなっていくのを感じる。
「すぅ……」
このままじゃダメだ。
僕は深呼吸をして、心を落ち着けた。
うん、まだまだやれる。
疲労はすぅっと引いていき、心も晴れやかに。
視界がクリアーになり、五感も冴え渡る。
「この俺が……こんな、無能なんか……にっ……くそ、くそがっ!!!」
ボロボロになったシグルドが、悪霊のような顔をしてうめいていた。
僕と戦い、こんな結果になるなんて、想像もしていなかったのだろう。
まあ、それは僕も同じではあるのだけど。
第三のテストはシグルドと戦い、勝利を収めること。
そんなことは難しいと緊張していたのだけど……
ソフィアは、僕なら簡単にできる、もっと自分を信じてください、と言った。
色々なことがあったのだけど、でも、僕はつい先日まで奴隷で、役に立たない存在で……
そんな自分を、いきなり信じるなんていうことは難しい。
でも、ソフィアの言葉を信じることはできる。
彼女が信じてくれる僕を信じる。
そして、全力で挑み……
このような結果になっている、というわけだ。
僕がここまでできるなんて、信じられない。
このままなら、問題なく冒険者になることが……
って、ダメだダメ。
油断は禁物。
シグルドは奥の手を隠しているかもしれないし、ひょっとしたら、こちらを油断させるためにわざと攻撃を食らっているのかもしれない。
最後まで慎重に、確実に勝利を取りに行かないと。
「このガキぃいいいいいっ!!!」
「ふっ!」
シグルドの攻撃はとても単調で、とても遅い。
こんなものなのだろうか? と拍子抜けしてしまう。
簡単に剣筋を読むことができて、動きもとても遅いものだから、避けることは楽勝だ。
うーん、これがAランクの実力?
実はCランクと言われても、納得してしまいそうなのだけど。
「誰がCランクだてめぇえええええっ!!!」
「あっ、僕、口に出していた!?」
「ふざけるなっ、ちくしょうちくしょう! ブチ殺してやる!!!」
泡を吹くような勢いで怒りながら、シグルドが木剣をブンブンと振り回す。
でも、やっぱりその攻撃は遅い。
なんで、僕程度が見切ることができるのだろう?
ああ、そうか。
彼は今、怒りに飲み込まれている。
だから攻撃が単調になり、僕でも、攻撃を見切ることができているのだろう。
そうに違いない。
よし、勝機は今だ。
「はぁっ!」
「ぐあ!?」
シグルドの攻撃は、かすることすらない。
逆に、僕はカウンターを叩き込む。
「こんな、ことで……俺が、無能なんか、にぃ……!!!」
「その無能に負けるんだよ、あなたは」
「くそ、がっ……」
体力と精神が限界に達したらしく、シグルドは悪態を吐いて、倒れた。
完全に気絶しているらしく、立ち上がる気配はない。
「そ、そんな……シグルドがやられるなんて、ありえないし! ちょっと、起きてよ、シグルド! そんな無能なんかにやられないでよっ」
「くっ、このようなことが起きるなんて……! これは、そう、イカサマです! イカサマに違いありません、あの無能は、なにか仕組んでいたに違いありません!!!」
ミラとレクターが騒ぐものの、そんな二人をソフィアが睨みつけて黙らせる。
「フェイトがイカサマをしていないことは、剣聖である私、ソフィア・アスカルトが保証します。彼が倒されたのは、単に弱いだけなのでは? ふふっ」
「ぐっ……」
「そ、それは……」
ソフィアの強烈な口撃に、ミラとレクターはものすごく苦い顔をした。
その様子を見た僕は苦笑をして……次いで、勝ったよ、とソフィアに笑みを向けるのだった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
軽く息が乱れてきた。
因縁の相手と戦うということで、緊張しているのかもしれない。
少しずつ体が重くなっていくのを感じる。
「すぅ……」
このままじゃダメだ。
僕は深呼吸をして、心を落ち着けた。
うん、まだまだやれる。
疲労はすぅっと引いていき、心も晴れやかに。
視界がクリアーになり、五感も冴え渡る。
「この俺が……こんな、無能なんか……にっ……くそ、くそがっ!!!」
ボロボロになったシグルドが、悪霊のような顔をしてうめいていた。
僕と戦い、こんな結果になるなんて、想像もしていなかったのだろう。
まあ、それは僕も同じではあるのだけど。
第三のテストはシグルドと戦い、勝利を収めること。
そんなことは難しいと緊張していたのだけど……
ソフィアは、僕なら簡単にできる、もっと自分を信じてください、と言った。
色々なことがあったのだけど、でも、僕はつい先日まで奴隷で、役に立たない存在で……
そんな自分を、いきなり信じるなんていうことは難しい。
でも、ソフィアの言葉を信じることはできる。
彼女が信じてくれる僕を信じる。
そして、全力で挑み……
このような結果になっている、というわけだ。
僕がここまでできるなんて、信じられない。
このままなら、問題なく冒険者になることが……
って、ダメだダメ。
油断は禁物。
シグルドは奥の手を隠しているかもしれないし、ひょっとしたら、こちらを油断させるためにわざと攻撃を食らっているのかもしれない。
最後まで慎重に、確実に勝利を取りに行かないと。
「このガキぃいいいいいっ!!!」
「ふっ!」
シグルドの攻撃はとても単調で、とても遅い。
こんなものなのだろうか? と拍子抜けしてしまう。
簡単に剣筋を読むことができて、動きもとても遅いものだから、避けることは楽勝だ。
うーん、これがAランクの実力?
実はCランクと言われても、納得してしまいそうなのだけど。
「誰がCランクだてめぇえええええっ!!!」
「あっ、僕、口に出していた!?」
「ふざけるなっ、ちくしょうちくしょう! ブチ殺してやる!!!」
泡を吹くような勢いで怒りながら、シグルドが木剣をブンブンと振り回す。
でも、やっぱりその攻撃は遅い。
なんで、僕程度が見切ることができるのだろう?
ああ、そうか。
彼は今、怒りに飲み込まれている。
だから攻撃が単調になり、僕でも、攻撃を見切ることができているのだろう。
そうに違いない。
よし、勝機は今だ。
「はぁっ!」
「ぐあ!?」
シグルドの攻撃は、かすることすらない。
逆に、僕はカウンターを叩き込む。
「こんな、ことで……俺が、無能なんか、にぃ……!!!」
「その無能に負けるんだよ、あなたは」
「くそ、がっ……」
体力と精神が限界に達したらしく、シグルドは悪態を吐いて、倒れた。
完全に気絶しているらしく、立ち上がる気配はない。
「そ、そんな……シグルドがやられるなんて、ありえないし! ちょっと、起きてよ、シグルド! そんな無能なんかにやられないでよっ」
「くっ、このようなことが起きるなんて……! これは、そう、イカサマです! イカサマに違いありません、あの無能は、なにか仕組んでいたに違いありません!!!」
ミラとレクターが騒ぐものの、そんな二人をソフィアが睨みつけて黙らせる。
「フェイトがイカサマをしていないことは、剣聖である私、ソフィア・アスカルトが保証します。彼が倒されたのは、単に弱いだけなのでは? ふふっ」
「ぐっ……」
「そ、それは……」
ソフィアの強烈な口撃に、ミラとレクターはものすごく苦い顔をした。
その様子を見た僕は苦笑をして……次いで、勝ったよ、とソフィアに笑みを向けるのだった。