「夕鶴、それを」


 隼理くんはそう言って手を差し出した。

 私は手にしている誕生日プレゼントを隼理くんに渡す。


「夕鶴、右手を」


 隼理くんにそう言われて右手を隼理くんの前に。

 そのあと隼理くんは私の右手の薬指に―――。


「きれい……」


 私は感動して薬指を見つめた。


「ありがとう、隼理くん。
 すごく嬉しい。大切にするね」


 隼理くんがくれた誕生日プレゼント。

 それは。
 とても可愛くて美しい指輪。


「喜んでもらえて、すごく嬉しいよ」


 隼理くんも嬉しそうにそう言った。



 ……あっ。

 そういえば。


「ねぇ、隼理くん」


 一つだけ不思議なことが。


「うん?」


 隼理くんは。


「どうやって私の指のサイズ……」


 知ることができたのだろう。

 隼理くんに指のサイズを伝えたことはないのに。


「あぁ、それは、
 寝てるとき」


「え……?」


「夕鶴が寝てるときに、
 こっそりと右手薬指のサイズを測った」


 そうだったんだ。


 寝ている間に。
 サイズを測っていた。

 それは。


「全然気付かなかった」


 寝ていたからとはいえ。
 全く気付かなかったことに少しだけ驚いた。


「ドキドキした」


「え……?」


「夕鶴が気付いて目を覚ましてしまうかもしれない。
 だから、ものすごくそ~っと測った」


 私に気付かれないように。
 そっとサイズを測ったのだなと思うと、なんだか微笑ましくなった。


 そう思うと、もっともっと嬉しくなって。
 隼理くんからもらった指輪を改めてじっと見つめた。