* * *


 「夕鶴、今日、美輝に来てもらったのは―――」


 私と隼理くんと美輝さんはソファーに座っている。

 テーブルにはオレンジジュースとコーヒー二つが置いてある。
 オレンジジュースは私で、コーヒーは隼理くんと美輝さん。


 飲み物を用意していた私がソファーに座った瞬間、隼理くんがそう話し始めた。

 そのとき隼理くんは美輝さんから小さな箱を受け取る。


「これを持ってきてもらうため」


 美輝さんから受け取った小さな箱。
 それを私の前に置いた。


「これは……」


 小さな箱には可愛らしいリボンが結ばれている。


「開けてみて」


 隼理くんはやさしく微笑みながらそう言った。


 私は「うん」と頷いて小さな箱を手に取った。

 まずはリボンをほどいて。
 箱の蓋を開けた。

 箱の中に入っているのは。
 可愛らしいケース。


「それ、開いてみて」


 隼理くんの言葉に、もう一度「うん」と頷いて。
 箱からケースを取り出し。
 ケースの蓋を開いた。


「これ……っ」


 ケースの中に入っているのは―――。


 驚いた私は。
 勢い良く顔を上げて隼理くんのことを見た。

 いつものようにやさしい。
 そんな笑顔で隼理くんは私のことを見ていた。


「夕鶴、十八日、誕生日だろ。
 でも、その日は平日だし。
 だから少し早いけど」


 隼理くんからの。
 誕生日プレゼント。

 嬉しい。
 ちゃんと覚えていてくれているなんて。

 そのことが、ものすごく嬉しい。