「だって隼理くんに連絡して、
すぐに隼理くんが私のところに来たら、
周りの人たちが不思議に思うでしょ」
「なんでだよ、そのとき誰もいなかったんだろ」
「そうなんだけど……。
でも、どのみちスマホは忘れて持っていなかったわけだから
隼理くんに連絡することはできなかったよ」
「…………」
「……隼理くん……?」
「……そういう問題じゃないんだよ……」
「え……?」
隼理くん……?
そういう問題じゃないって……。
それは、どういう意味……?
……って。
……‼
隼理くんの言葉の意味を考えているとき。
また隼理くんが……。
唇を激しく塞いだ。
何度も何度も。
角度を変えて。
激しいキスが落とされる。
だいぶ呼吸が整ってきたところだったのに。
あっという間に酸欠状態に陥ってしまった。
呼吸が苦しくなって。
また無意識のうちに自分とは思えないくらいの甘ったるい声が漏れてしまう。
そのたびに。
隼理くんの口角が上がるように見える。
キスをしながら器用に。
……もう、限界……。
このままでは身体中の酸素が無くなって意識が無くなりそう。
そう思った私は、抜けそうになる力を振り絞って隼理くんの背中に手をのせた。
そして、やさしくポンポンとした。
「……苦しい……?」
私の合図に隼理くんがやさしく唇を離した。
けれど。
やっぱり私の唇と隼理くんの唇の間隔は。
すぐにでも触れそうなくらい。
「……芦達先生には感謝してるよ」
そんな間隔で隼理くんが話し始めた。
だから。
隼理くんの唇が、今にも触れそう。
そして温もりも。
またまたドキドキが加速する。
そして。
ドキドキし過ぎて血液の流れが凄まじいのか。
身体中の体温が上昇し熱くなっている。
「足を痛めて大変な思いをしている夕鶴のことを助けてくれたんだから」
これ以上ドキドキが加速したら。
心臓がどうにかなってしまいそう。
それなのに。
隼理くんが私のことを。
熱を含んだ眼差しで見つめているから。
もう、なにがなんだかわからない。
ドキドキの速度も。
身体中の体温も。
激しくなり過ぎて。
熱くなり過ぎて。
このままでは意識が朦朧としてきそうで……。