こんなにも気さくな感じだと。
 これ以上、何も言えなくて。


「……ありがとうございます……」


 本当に。
 このまま甘えてしまっていいのか。
 よくわからないけれど。


「どういたしまして」


 芦達先生の表情を見ていると。
 ただ社交辞令で言っただけとは思えなくて。


 なんだか申し訳ないという気持は残っているけれど。
 このまま芦達先生のご親切に甘えさせてもらうことにした。


「じゃあ、ちょっとごめんね」


 芦達先生はそう言って足を挫いた方の靴下を下した。


「これは……結構、腫れてるね。
 今は応急処置しかできないから、
 帰ったら病院に行った方がいいね」


 芦達先生は深刻そうな表情(かお)をしてそう言った。


「神城さんが足を捻挫したって彼氏さんが知ったら、ものすごく心配するね」


 え……。


「だって神城さん、彼氏いるでしょ」


 ……っ‼


 芦達先生の言葉に。
 驚き過ぎて声を出すことができなかった。


 確信……?
 それとも。
 当てずっぽう……?

 どちらなのか。
 はっきりとしたことはわからない。

 けれど。

 芦達先生の言い方は。
 冗談や当てずっぽうのように思えない。

 それならば。
 やっぱり芦達先生は。
 私に彼氏がいることを確信している……?


 でも。
 私に彼氏がいることを。
 芦達先生が知っていても。
 相手が隼理くんということは、わかっていないわけだから……。


 …………。

 相手はわからないのに。
 どうして芦達先生は。
 私に彼氏がいることを確信しているような言い方を……。


 ……‼

 もしかして……‼
 見られてしまった……⁉
 私と隼理くんが学校外で会っているところを……‼

 でっ……でも……‼
 そんなはずは……‼

 だって。
 私と隼理くんは。
 外に出るときは車で移動するし。
 それ以外は隼理くんの部屋にいるから。
 だから……‼


「やっぱり」


 え……。