「「「「「きゃぁぁっっ‼」」」」」


 ‼ ‼ ‼

 ……っっ⁉

 えっ⁉ えっ⁉ えっ⁉


「芦達先生が神城先輩のことをお姫様抱っこしてるぅ」


 えっ⁉


「芦達先生と神城先輩、美男美女でお似合い」


 なっ……なななっっ⁉

 いっ……一体何が……っ⁉


「どうやら僕たち祝福されてるみたいだね」


 ……⁉

 あっ……芦達先生っ⁉
 しゅっ……祝福って……⁉

 穏やかに微笑みながら言っているけれど……‼
 そんな場合では……‼


 …………。

 ……って。

 思ったけれど。
 確かに。
 芦達先生の言っていることは。
 あながち間違っていないのかもしれない。

 アイドル的存在の芦達先生に、お姫様抱っこされていたら。
 女子生徒たちが黙っていないはず。
 悲鳴を上げる生徒たちもいれば。
 とげとげしい視線を向けてくる生徒たちもいる。
 そう思っていた。

 でも、そうではなかった。

 実際、私が芦達先生に、お姫様抱っこされていても。
 悲鳴を上げる人や、とげとげしい視線を向けてくる人はいなかった。

 むしろ。
 私が芦達先生に、お姫様抱っこされていることを。
 好意的に言っている言葉しか聞こえてこない。

 そのことに。
 私はとても驚いていた。


 と。
 そう思っている間に。
 女子生徒たちの声が遠くに聞こえるようになってきた。

 いつの間にか。
 私と芦達先生は女子生徒たちの騒ぎの渦から離れていた。


「神城さん、保健室に着いたよ」


 そうこうしているうちに。
 保健室に着いた。