…………。


 こうなってほしくない。
 そんな結果になってしまった。

 隼理くんは。
 スマホの画面を見た瞬間。
 少しだけ動揺を見せた。

 その様子を。
 私は見逃さなかった。

 隼理くんの様子を見た瞬間。
 心臓を鷲掴みされたような。
 そんな苦しさに襲われた。


 それでも。
 隼理くんのことを見続ける。

 隼理くんはまだ動揺している。

 動揺を残したまま隼理くんはスマホを持ってリビングを出る。
 そして寝室の中に入って行った。



 全て。
 こうなってほしくないことが起こってしまった。

 動揺して。
 隠れるように別の部屋に行って。

 どれもこれも見たくもなかった現実。

 もうこれ以上、辛い現実を知りたくない。

 けれど。

 それでも……。

 やっぱり気になってしまう。

 隼理くんが。
 美輝さんと。
 何を話すのだろうか、と。

 だから。


 私もリビングを出た。
 そして。
 隼理くんが入って行った寝室のドアの目の前に立った。

 だけど。
 さすがに中に入ることはできない。

 だから。
 寝室のドアに耳をくっつけて。
 ドア越しから漏れてくる隼理くんの話し声を聞こうと思った。

 ドア越しだから聞き取りにくいけれど。
 話している内容を少しでも聞き取ろうと思った。


 今、私がしている行動は。
 自分でも怪しいと思っている。

 けれど。
 どうしても気になるから。
 隼理くんが美輝さんに何を話すのか。