「こんなことを訊いたら、
 今の時代はセクハラになってしまうかもしれないけど」


 そう思っていると。
 飛鷹先生が話し始めた。


「神城って……彼氏……とかいるのか……?」


 えっ⁉

 彼氏⁉


 飛鷹先生、なんでそんな質問を……?


「いない……です」


 そう思いながらも。
 そう返答した。


「本当か?」


 私の返答に。
 訊き直してきた、飛鷹先生。


「はい……。噓をついてもしかたがないですから」


 私は飛鷹先生にそう言った。


「……そうか……それならよかった」


 ……?

 よかった……?

 一体何がよかったのだろう。


 今の飛鷹先生。
 いつもの飛鷹先生と違う気がする。

 なんていうか。
 質問が……。

 いつもの飛鷹先生は。
 生徒にそんな質問……色恋がらみの質問はしないと思う。

 一体どうしたのだろう、飛鷹先生。


「……神城」


 そう思っていると。
 飛鷹先生が改まって私のことを呼んだ。


「……もう……気付いてる……よな……?」


 ……?

 気付いている……?

 何を……?


『気付いてるよな』

 飛鷹先生はそう言ったけれど。
 正直なところ、何のことなのか、さっぱりわからない。