隼理くんの車の中で、そんなことを考えながら。
 ルームミラーに目を向ける。

 そこには運転している隼理くんの真剣な眼差しが映っている。

 私はミラー越しに映るその眼差しをじっと見つめていた。

 そうしたら。
 視線を感じたのか。
 隼理くんもミラー越しから私のことをチラッと見た。

 そのとき隼理くんと目が合った。

 ミラー越しで目が合うと。
 また違った感じの恥ずかしさが込み上げてくる。

 隼理くんは。
 やさしく微笑んでから視線を元に戻した。

 一瞬でも。
 隼理くんが微笑んでくれるだけで幸せな気持ちになる。
 心が温まる。


 そのとき。
 なぜだろう。
 なぜだかわからないけれど。
 ふとこんなことを思い出した。


 それは――。

 隼理くんと恋人同士になった、あの日―――。