親との電話を終えた。


「隼理くん、なんとか許可をもらったよ。
 ただ、親は少し気にしてるみたい。
『二泊もするなんて相手の方に悪いんじゃない?』って。
 だから私、『友達がそうしていいって言ってるから』って言っちゃった。
 ごめんね、勝手にそう言っちゃって」


 本当に申し訳なく思い。
 そう言うと。


「いいよそんなこと。
 むしろそう言った方がよかったと思う。
 そうじゃないと夕鶴の親御さんは
 もう一泊することを許可してくれなかったと思うから」


 隼理くんは包み込むようなやさしい笑顔でそう言った。


「ありがとう、隼理くん。
 隼理くんにそう言ってもらえると、とても救われる」


 隼理くんの優しさや気遣いがとても嬉しい。


「いいよ『ありがとう』なんて。
 そう言った方がよかったというのは本当のことだから。
 それよりも俺はすごく嬉しい、
 今日も夕鶴と一緒に過ごすことができるから。
 ……でも……」


 ……?

 でも……?


「本当は夕鶴の親御さんに正直に俺の部屋に泊まることを言えたなら……。
 夕鶴に『友達の家に泊まる』と嘘をつかせてしまって申し訳ないと思っている」


 隼理くん……。


 隼理くんはとても申し訳なさそうにしている。

 そんな隼理くんのことを見ていると。
 気の毒になってくるし。
 申し訳ない気持ちになってくる。


「気にしないで、隼理くん。
 私が高校を卒業するまでの間のことだから。
 高校を卒業したら周りのことは気にしなくてもよくなるよ。
 だから……」


 言い切る前に、隼理くんは私のことをぎゅっと抱きしめた。