……あっ。
そうだ。
隼理くんは私と一緒にいたいと思ってくれている。
私も隼理くんと一緒にいたいと思っている。
だから。
「隼理くん……
もし隼理くんが今日も私のことを泊めてくれることが大丈夫なら、
親にもう一泊していいか訊いてみるから。
だから、ね、お願い隼理くん、お風呂は私一人で入ってもいい?」
いろいろ考えた結果。
その答えに至った。
けれど。
隼理くんと一緒にいたいと思っていることは。
本当のことだから。
「……本当か? 本当に親御さんに泊まることを交渉してくれるのか?」
心なしか。
隼理くんの声のトーンが。
少しだけ弾んでいるような気がした。
「うん」
私は小さく頷きながらそう返事をした。
「……わかった。じゃあ一緒に風呂に入ることは我慢する」
少しだけ声のトーンが寂しそうだけど。
なんとか納得してくれた、隼理くん。
「ありがとう、隼理くん」
私の提案を受け入れてくれた隼理くんに、そう伝えた。
「『ありがとう』なんて……ありがとうを言わなくてはいけないのは俺の方。
今日も泊ってくれることを親御さんに訊いてくれると言ってくれて
本当にありがとう」
隼理くんの『ありがとう』の気持ちが。
とても伝わってくる。
「『ありがとう』なんて……
私が隼理くんの部屋に泊まりたかっただけだから」
だって。
少しでも長く。
一緒にいたいから。
隼理くんと。
「俺も、今日も夕鶴に泊ってほしい」
隼理くんはそう言うと。
より強く私のことを抱きしめた。
そして隼理くんは。
私からやさしく離れて。
そのあと。
やさしくキスを……。
「……隼理くん……」
隼理くんの唇がやさしく離れ。
私は静かに隼理くんの名前を呼んだ。
そのあと。
ほんの少しの間、隼理くんと見つめ合って。
「じゃあ、お風呂に入ってくるね」
隼理くんにそう言って。
私は浴室へ向かった。