「しゅっ……隼理くんっ⁉」


 一瞬、何が起きているのかわからなかった。

 突然のことで驚いたから。


 でも、すぐに理解した。

 隼理くんが私のことをぎゅっと抱きしめている。


「……俺も……」


 え?


「夕鶴と一緒に風呂に入りたい」


 え……。

 えぇっ⁉


「しゅっ……隼理くんっ、『一緒に入りたい』って、
 隼理くんはさっき入ったじゃないっ」


 隼理くんにそう言われた驚きと。
 恥ずかしさで。
 慌てたような言い方になってしまった。


「それはそれ、これはこれ」


 しゅっ……隼理くんっ‼


「いっ……一緒に入るなんて……っ。
 そんなのダメだよっ」


 絶対に無理、無理、無理っ‼


「なんで」


 ……‼

『なんで』って……‼

 そっ……そんなの……っ‼


「……恥ずかしい……から……っ」


 に決まっているでしょっ‼


「可愛い」


 えっ。


「恥ずかしがってる夕鶴もほんと可愛い」


 そう言った隼理くんの声のトーンは。
 超甘々の砂糖のように。


 その声が。
 耳に入り。
 全身を刺激する。


 ……危険。
 その刺激は。
 あまりにも気持ち良すぎて。
 私の身体と心を麻痺させる。