「そんなことはない」


 隼理くんは。


「夕鶴のことを見たら、
 男たちは皆、夕鶴の魅力に引き込まれていく」


 きっぱりとそう言った。


 隼理くんが言ってくれた言葉。

 その言葉は嬉しくないと言えば噓になる。


 だけど。


「買い被り過ぎだよ、隼理くん。
 私は隼理くんが言ってくれるような魅力なんて全くないよ」


 そう思うから。

 私は隼理くんにそう言った。


 のだけど。


「夕鶴は謙虚過ぎるんだよ」


 隼理くんはそう言った。


「謙虚だなんて、私は本当のことを……っ‼」


 そう言いかけたけれど。
 途中で言葉が止まってしまった。


 なぜなら……。

 隼理くんが……。

 私の首筋に……。

 キスを……。


 そして隼理くんは私の首筋に何度も何度も……。

 何度もキスをした……。



 私の首筋に何度もキスをしている隼理くん。

 そのとき。

 隼理くんの唇が離れた。

 そして。


「……しょうがない」


 そう言った、隼理くん。


「風呂は一人で入ってくる」


 そう言った隼理くんの声のトーンは。
 少しだけ寂しそうだった。



 私と隼理くんはベッドから出た。


 そして隼理くんは浴室へ。

 私は朝ごはんを作るためキッチンの方へ。
 それぞれ向かった。