「一緒に風呂に入ろ」


 ……‼


 そんなことを言ってくるから。



 いくら甘い眼差しで見つめられても。

 どれだけ甘い声で言われても……。



『一緒に風呂に入ろ』



 この言葉。

 この言葉は、いただけないっ。


 だって……。


「はっ……恥ずかしいからっ」


「え……?」


「だから一緒に入るのは無理っ」


 絶対にっ。


 絶対に無理だから。

 私は隼理くんに必死にそう言っているのに。


「可愛い」


 えっ。


「恥ずかしがっている夕鶴も、ほんとに可愛い」


 しゅっ……隼理くんっ。


 そう言った隼理くんは私のことを抱き寄せた。


 その後、隼理くんは私のことをぎゅっと抱きしめた。


「こんなにも可愛いところを他の男に見せたらダメだからな」


「他の男って……女子校だから男子はいないじゃない」


「夕鶴……俺は学校内のことだけを言っているわけではないからな」


「え……?」


「学校外にはいくらでも男はいるだろ」


 ……確かに……そうだね。

 確かに隼理くんの言う通り、学校外には男の人は大勢いる。


 だけど。


「それに学校内にも教師がいる。
 男の教師は俺だけじゃないんだから」


 隼理くんが心配するようなことにはならないと思う。

 だから、そんなにも心配しなくてもいいのに。

 だから。


「大丈夫だよ、隼理くん。
 隼理くんが心配しているようなことにはならないから」


 と、言ったのだけど。