「……隼理くん……?」


「…………」


 …………。


「隼理くーん」


「…………」


 ……⁉


 えっ、うそっ、なんでっ。

 なんでずっと無言なのっ、隼理くんっ。


 今の私の身体は。
 隼理くんに背を向けた状態になっている。

 だから隼理くんの表情(かお)を確認することができないっ。


 今、隼理くんがどんな表情(かお)をしているのか。
 隼理くんに背を向けている私には全くわからないっ。


 だから隼理くんが無言だと不安になってしまう。

 今、隼理くんが何を考え、そして何を思っているのか。
 それらのことが全くわからない状態になってしまっているからっ。


 だからっ。
 だから、お願いっ。
 お願いだから何か話して、隼理くんっ。



「……ダメ」


 私の願いが通じたのか。

 やっと隼理くんの声がした。


 のだけど……。

 ダメ?

『ダメ』って何がダメなのだろう。


「えっ?」


 私はそう思いながら声を出した、ら。


「きゃっ……‼」


 しゅっ……隼理くんっ⁉


 それは。
 あまりにも突然のこと。


 隼理くんがっ。
 隼理くんの手が……っ。