「どうしたんですか」


 そのとき。
 芦達先生が隼理くんのところに来た。


「芦達先生。
 ……それが……」


「……これは……
 なんという……」


 隼理くんが手にしている紙を見た芦達先生も深刻な表情(かお)になった。


「イタズラにしては……」


 芦達先生が言ったことに「そうですよね、本当に酷いですよね」と朝海は大きく頷きながらそう言った。


「誰がそんなことをしたのか、わかりそうですか」


「いえ、全くです」


 芦達先生の言葉に隼理くんはそう返答した。


 朝海は私に「何か心当たりはない?」と訊いた。
 けれど心当たりは全くなく。


 誰がそんなことをしたのか。
 探し当てるのは難しいだろう。


「神城、この紙、預かってもいいか」


 そう言いながら隼理くんは紙を折りたたんだ。


「はい」


 正直なところ。
 その紙をずっと持ち続けることは怖い。
 かといって。
 捨てるのも証拠を無くすということになってしまう。
 だから、そうすることもできない。

 だから隼理くんが預かってくれるのは。
 とても心強いし感謝の気持ちでいっぱい。


 ……とはいっても。
 一週間前の紙は私の部屋に置いてある。
 中身は下駄箱のところで見ただけ。
 それ以降は一度も見ていない。


「それから一週間前のも、まだ持っているなら持ってきて。
 預かるから」


 とても頼りになる隼理くんの言葉。


「ありがとうございます」


 隼理くんには。
 本当に感謝の気持ちでいっぱい。


「何を預かるのですか」


 そのとき。
 突然、後ろから声がした。