「どうしたの? なんかあった?」


 やっぱり。
 すぐに気付くよね。


 私の声のトーンと様子から。
 朝海は私の顔を覗き込んだ。


「おっ、なになに」


 そのとき。
 朝海は目に入った。
 私が手にしている白い紙。


「それラブレターでしょ」


 どうやら朝海は。
 それをラブレターだと思ったらしい。


「相変わらずモテモテだね~、夕鶴は」


 朝海はニヤリとしている。


「そんなんじゃないよ」


 そう言ったのだけど。


「そんなに謙遜しなくてもいいのに。
 それとも照れてるのかな」


 朝海はそう言うと。
 私が手にしている紙をシュッと取った。


「あっ……朝海っ」


 まだ見ていないから。
 内容はわからないけれど。
 ほぼ間違いなく一週間前のときと同じもの。

 だから。
 ものすごくまずい。
 朝海に見られてしまったら。

 そう思い。
 朝海から紙を取り返そうとするけれど。


「私にもラブレターの中身、見せて」


 そう言って。
 朝海は紙を返してくれそうにない。


「別に大したものじゃないからっ。
 だから、ね、その紙を返して」


 必死に説得しても。


「え~、いいじゃん。
 見たって減るものじゃないんだから」


 そう言って。
 折りたたんである紙を開けた、朝海。


「え……」


 開けた紙を見たとき。
 朝海の顔色が見る見るうちに変わっていった。


「なに……これ」


 朝海の反応を見て。
 すぐにわかった。
 どんな内容か。