「夕鶴、あかり点けていい?
 せっかく夕鶴が印を付けてくれたのに部屋が暗くて見えない」


 ……‼


 しゅっ……隼理くんっ‼

 そっ……それは……っ‼


「あっ……あかりは点けないでっ‼」


 私の勢いのある言い方に。
 隼理くんは驚いた表情(かお)をしていた。

 けれど。

 すぐにフッと笑って。


「ほんと可愛いな、夕鶴は。
 じゃあ、後で洗面所に行って、じっくりと見ようかな」


 ……そっ……それはそれで……。

 かなり恥ずかしい……。


「……俺はどうすればいいんだ」


「え?」


「夕鶴があまりにも可愛すぎて……
 なんでそんなにも可愛いんだ」


「そっ……そんな……可愛いなんて……」


「……覚悟しておけよ」


「え?」


「夕鶴があまりにも可愛すぎるから」


 隼理くん?


「できない」


 え……?


「手加減なんか」


 手加減……?

 できない、って……?


「……隼理く……んんっ」


 隼理くんのことを呼び終わる前に。
 隼理くんが激しく私の唇を塞いだ。

 そして……。

 いつも以上に。
 甘く艶っぽく……。


 それから……。

 これ以上のことは。
 恥ずかし過ぎて……。


 隼理くんが言っていた。
『覚悟して』
『できない、手加減』

 その意味が。
 心でも身体でも。
 しっかりと理解した。


 その時間は。
 長く長く続いた―――。