翌日。


 今は昼休み。

 友達の海野(あまの)耀子(ようこ)と屋上で昼ごはんを食べている。


「そういえば、松尾さ」


 そのとき。

 耀子が松尾の名前を出した。


 耀子の話によると。
 松尾が彼女と別れたらしい。


 松尾に彼女がいたということは。
 同じ学年では有名な話。

 松尾はイケメンで人気者。
 松尾の彼女もとてもきれいな人で、他の男子たちの憧れの的。

 松尾と彼女は二年生のとき同じクラスだった。
 それもあって、よく話をしていたらしい。

 そして、だんだんと仲良くなって……。
 松尾と彼女の大物カップルが誕生した。

 そのことは同じ学年のほとんどの人たちに広まった。

 だから、松尾や彼女と違うクラスだった私の耳にも嫌でも入ってきた。

 松尾に彼女ができた。
 そのことを知った私は……。

 ……ダメだ……。
 そのときの気持ちを思い出したくない……。



 それにしても。
 松尾と彼女が別れたなんて……。
 それは、ものすごく驚いた。

 周りから聞こえてくる話だと。
 松尾と彼女はとても仲が良かったって。

 それなのに……。
 二人に何があったのだろう。

 ……って。
 私には全く関係がないことじゃない。
 あの二人が別れようがなんだろうが……。