私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない




 政輝くんとカフェ巡りをする日。


 政輝くんとは約束通りカフェ巡りをした。

 それから政輝くんが観てみたい映画があるということで映画館にも行き。
 気付いたら十八時を回っていた。


「遥稀さん、そろそろ夕飯食べに行きません?」


「そうだね」


 亜南くんは。
 休みの日……プライベートのときは『遥稀さん』と呼んでもいいですかと言った。

 そして亜南くんのことも。
『政輝じゃなくて亜南と呼んでほしいです』と言った。


 いつも『店長』・『政輝くん』と呼び合っているから。
 下の名前で呼び合うということが。
 なんだか照れてしまう。



 夕飯を食べ終え。
 亜南くんが食後の運動も兼ねて夜の散歩がしたいということで。
 公園の中を歩いている。


 五月の下旬。
 初夏の香りを含む風が。
 やさしく包み込んでいる。

 その香りも感触も。
 とても心地良い。



「遥稀さん」


 その心地良さに癒されているとき。
 ふわっと包み込むような亜南くんのやさしい声が流れてきた。


「今日は楽しかったです。
 ありがとうございました」


 亜南くん。
 笑顔もふわっとしている。


「こちらこそ、ありがとう。
 偵察という目的を忘れるくらい、すごく楽しくて。
 私としては普通にカフェでお茶してた感じ。
 映画も楽しかった」


 こんなにも楽しめたことが。
 本当に久しぶりで。


「でも、店長としては失格だよね。
 本来の目的を忘れてしまうなんて」


 どこのカフェも美味しくて。
 感動しちゃったし。


「……ありませんよ、初めから」


「え……?」


「目的……なんて」


 ……?


「亜南くん……?」


「あるにはありますけど……
 それは偵察ではありません」


 そうだったの?

 それなら……。


「偵察が目的じゃないのなら……?」


 本当の目的は……?