翌朝。皇帝アルディス3世の帝都凱旋まで、あと7日。
「騎乗のご経験はありますね?」
「ええ、戦争大臣の任期中に。プライベートでも、陛下と共に遠乗りしたことがあります」
早朝の屋上は、まだ冷たい風が吹きすさんでいた。アンナは鞍にまたがると、飛竜の鱗を撫でる。黒曜石のような透明感のある黒紫色の鱗は、つるりとして触り心地が良い。
「先程も申し上げましたが、犯人探しを手伝うつもりはありません。私はここで、看守の目をあざむく事にのみご協力いたします」
「はい、お願いします。夜には一度戻ります」
マルムゼに一礼すると、アンナは手綱を引っ張った。飛竜が黒い翼を大きく広げ、天に向かって飛翔する。
「ああ、そうだった。この感じ……」
心臓が浮き上がるような感覚。初めて飛竜に乗ったときは恐怖しか無かったが、いつしかこの感覚が病みつきになっていたのを思い出した。ある程度の他度まで飛翔すると、東の空が赤くなっているのが見えた。さぁ行こう。黒鱗種の速度なら、帝都へは2時間半といったところか。
脱獄。アンナは一年ぶりに監獄島を脱出し、帝都へと向かった。
「騎乗のご経験はありますね?」
「ええ、戦争大臣の任期中に。プライベートでも、陛下と共に遠乗りしたことがあります」
早朝の屋上は、まだ冷たい風が吹きすさんでいた。アンナは鞍にまたがると、飛竜の鱗を撫でる。黒曜石のような透明感のある黒紫色の鱗は、つるりとして触り心地が良い。
「先程も申し上げましたが、犯人探しを手伝うつもりはありません。私はここで、看守の目をあざむく事にのみご協力いたします」
「はい、お願いします。夜には一度戻ります」
マルムゼに一礼すると、アンナは手綱を引っ張った。飛竜が黒い翼を大きく広げ、天に向かって飛翔する。
「ああ、そうだった。この感じ……」
心臓が浮き上がるような感覚。初めて飛竜に乗ったときは恐怖しか無かったが、いつしかこの感覚が病みつきになっていたのを思い出した。ある程度の他度まで飛翔すると、東の空が赤くなっているのが見えた。さぁ行こう。黒鱗種の速度なら、帝都へは2時間半といったところか。
脱獄。アンナは一年ぶりに監獄島を脱出し、帝都へと向かった。