「……あの……」


 勇気を。


「君に……」


 出して……‼


「……訊きたいことが……あるんだけど……
 訊いても、いい……?」


 とりあえず、ここまでは言えた。

 女の子の返事は……。


「うん、なぁに」


 女の子は快く返事をしてくれた。

 それを聞いて安心した。


「えっと……」


 まずは。


「君は……このあたりに住んでいるの?」


 この質問から。

 そこから探りを入れる。


「ううん、違うよ」


 おっ‼
 そうなんだ‼

 ということは……‼
 もしかしてもしかすると……‼


 女の子の返答を聞いたところで。
 ここからが本題。

 それは俺にとって一番知りたいこと。

 だから。


「……あのさ……」


 訊こうと思う。

 のだけど。


「突然こんなことを訊いたら……」


 すんなりと言葉にすることができない。


「びっくりするかもしれないけど……」


 ドキドキする。


「君は……」


 この女の子が。


「十年前のこの季節に……」


 何て。


「ここに……来たことある?」


 答えるのか。



「……十年前……
 この季節に……」


 女の子が話し始めた。


 お願い。
 お願いだ……‼

 この女の子が。
 十年前のあの日の子でありますように……‼