今日も行き交う人々の
喜怒哀楽は激しい。

雨の中でもそれは関係なく視(み)える。

はぁ~

今日も疲れる。

僕は他人(ひと)の感情が
“色”で視(み)える

ざっくりと分けるとこんな感じだ。

喜→桃花色{明るい灰みの赤紫系の色}
怒→紅赤{強い赤系の色}
哀→縹《はなだ》色{深い青系の色}
楽→若芽色{灰みの黄緑系の色}。

その他に動揺など場面場面で
勿論、視(み)える“色”は違ってくる。

小学生の頃から視えるようになり
最初に視たのは母さんの“怒”だった。

その頃、父さんは仕事人間で
夜遅くに帰ってくるのが当たり前だった。

浮気しているでもなく
飲み歩いているでもなく 
本当に、それこそ家に仕事を
持ち帰ってくる程忙しいだけだった。

それでも、母さんは仕事人間な
父さんに対して常にイライラしていた。

八年経ち、転職した父親は
昔よりは仕事人間でなくなった。

そして、父親は“哀”の感情が
激しいことに気付いた。

小さい頃はあまり話さない父親より
母さん親の感情にばかり
目が向いていたけど中学生になる頃には
父さんの感情にも気付くようになった。

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現在、高校三年になった僕は
両親には秘密で年上で同性の恋人ができた。

恋人の律希は母さんと違い
“怒”の感情を殆ど見せない。

示す割合でいえば“楽”の感情が
多くを占(し)めている。

だが、“歓楽的”なわけじゃない。

それは彼を見ていればわかる。

『律希』

僕は今、律希が一人暮らししている
アパートに遊びに来ている。

構ってほしくて後ろから抱きついた。

『こら哉芽、
構ってほしいなら言葉にして言えよな』

ぇへへと笑うと“しょうがない”という
表情(かお)をしながらも構ってくれる。

色はよりやや薄めの緑。

この色は僕といて普通よりも
楽しいと思ってくれている証。

白緑(やや灰色い黄緑系の色)。

そう、この時はまだ知らなかったんだ。

律希に恋してる女性に嫉妬から
駅の階段から突き落とされることを。